アウトレイジ ビヨンド


 2014.10.31      騙し騙されの世界 【アウトレイジ ビヨンド】  HOME

                     
評価:3

■ヒトコト感想
前作から引き続き、ヤクザたちが暴力により支配を強めようと躍起になる物語。基本的には前作を見ていないと楽しめない。前作の人間関係があった上での本作となり、面白さが増している。まる暴である片岡が暗躍し、ヤクザ同士を戦わせようとする。謀略にまみれた世界。自分の組の幹部すらも信用しない世界。

前作がサラリーマン的な世界であるとすると、本作では誰も信用できない騙し騙されの世界となる。大物ヤクザたちが、若造の石原に顎で使われ、古臭い風習にこだわり続ける者たちは駆逐されようとしている。大友が出所し、復讐をとげる物語なのだが、なにより片岡の行動が強烈だ。あちこち動き回り、ヤクザ同士を戦わせる。本作の主役は間違いなく片岡だ。

■ストーリー

前回の抗争から5年後。先代亡きあと会長が交代して新体制となり、関東の頂点を極めた暴力団【山王会】は、ついに政治の世界にまで手を伸ばし始めた。巨大ヤクザ組織の壊滅を企てる警察組織は、山王会の過剰な勢力拡大に業を煮やしていた。そこで目を付けたのが、関西の雄である【花菱会】だ。表向きは友好関係を保っている東西の巨大暴力団の対立を目論み、刑事・片岡(小日向文世)は裏で策略を仕掛けていく。

■感想
前作は、ヤクザもサラリーマンと変わらず、上からの命令には従うしかない、という哀愁漂う展開であった。それが、本作ではしっぽ切りされた大友が出所し復讐に動き出す。うまいこと上司に取り入り出世した石原は、山王会のナンバー2となる。

立ち回りがうまいものが出世し、古臭い考えを持つ者はいつまでも下っ端で、年下に追い抜かれ屈辱にまみれる。金稼ぎがうまい石原が古参の幹部たちに対して暴言を吐き攻撃をする。石原はいつか大友にやられるのだろうと思いつつも、その強烈なキャラに酔いしれてしまう。

山王会内部で石原をよく思わない幹部たちが、関西ヤクザへ合流しようとする。そこで暗躍するのが片岡だ。大友の後輩であり、前作でも鍵となったまる暴だ。今回の片岡は、山王会の古参幹部をたきつけ謀反を起こさせようとする。それが山王会会長にばれたとわかると、すぐに方針を変え、別の方策を考える。

片岡の暗躍に気づいた石原が、片岡を脅すと、片岡は石原を始末しようと大友たちをたきつける。この変わり身の早さと世渡り上手な感じがすばらしい。片岡は、本作の主役と言ってもよいかもしれない。

本来の主役である大友の存在感は薄れている。兄弟分の木村が迫力満点で迫るのに比べ、大友は足を洗って堅気になりたいとつぶやく。石原や山王会会長に対する恨みの気持ちがあるにせよ、どこか枯れた雰囲気がある。ヤクザたちの汚い謀略の数々。

誰が一番得をしたかというと、間違いなく様々な仕掛けをしつつ、傍観しつづけた関西のヤクザだろう。山王会はボロボロとなり、あの片岡すらも最後は、今までの報いを受けることになる。前作ほどの爽快感はない。暴力描写は激しいが、騙しと一瞬の銃撃ですべてが終わってしまう。

前作のその後を見られる面白さはあるが、面白さはダウンしている。



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