2014.3.25 迫りくる中東の恐怖 【アルゴ】 HOME
評価:3
■ヒトコト感想
実話という衝撃と、序盤に登場する偽映画を企画する部分が、かなりコメディ風に見えてしまう。まさか本当に人質を救出するために、ふざけた映画を立ち上げるなんて、さすがアメリカ的スケールの大きさを感じずにはいられない。偽映画の内容が、これまた絵に書いたようなB級映画で、どう考えても面白そうには見えない。
実際に作るわけではないので、適当なのかもしれないが、本作のトーンとしては、そこだけむちゃくちゃコメディに見えてしまう。ラストのハラハラドキドキとした脱出劇や、作戦を受け入れるかどうかの緊迫した雰囲気とのギャップがすさまじい。基本はシリアスなのだが、変な面白さがあるのが本作の特徴なのだろう。
■ストーリー
全世界を震撼させた歴史に残る大事件が起きたのは、1979年11月。革命が吹き荒れるイランで、過激派がアメリカ大使館員を人質にとる。混乱のなか裏口から6人が脱出、カナダ大使の家に身を隠す中、CIAのトニー・メンデスが提案した人質奪還作戦とは…?アメリカが封印した最高機密情報を基にした衝撃の実話
■感想
事件の概要や状況は衝撃的だ。大使館員がそのまま人質になってしまう世界というのはどうなのだろうか。そんな衝撃的状況から人質を救い出すために、どのような作戦を練るのか。当初の作戦が、自転車で国境まで移動だとか、お遊び風なアイデアばかりなのが面白い。
シリアス調のはずが、出てくるアイデアが面白すぎる。それでいて、大真面目に映画スタッフとして救出するという案が通る。偽映画をでっち上げるシーンは、まさにお祭り騒ぎ的な雰囲気がある。これからシリアスな人質救出に臨むとは思えない雰囲気だ。
実話ベースの物語のため、それほどドラマチックな出来事はないはずだが、緊迫感がすさまじい。ほとんどは演出なのだろうが、潜伏先のカナダ大使私邸のお手伝いさんがアメリカ人の存在に気づき、警備員が怪しい動きをしたり。
極めつけは、疑われながらも、脱出する直前に、正体がばれ追いかけまわされるシーンだ。さすがにそれはないだろう、と思うが、映画の演出としてはこれ以上ないほどハラハラドキドキとした展開が楽しめる。偽映画がいつのまにかシリアスにピッタリな雰囲気になったのにも驚いた。
実話であり、情報が97年まで隠されていたことに驚いた。実際の映像を交えながらの作品だけに、ところどころに衝撃的な映像がある。特に序盤の、大使館へイラン国民が押し寄せるシーンはすさまじい。大量の民衆に押し寄せられれば、どんな武器を持った海兵隊も無力となる。
また、アメリカから見たイランの描写が、これでもかというほど中東の不気味さを強調しているので、より恐ろしくなる。恐らくアメリカ人からすると、宗教に命をかけ、迫りくる存在というのは、不気味に感じるのだろう。
脱出直前の緊迫感にはすさまじいものがある。
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