運命のボタン


 2012.10.24    不幸な究極の選択 【運命のボタン】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
箱の中のボタンを押せば、見知らぬ誰かが死ぬ代わりに、自分に1億円が手に入る。そんなボタンが目の前にあったとしたら、人は押すのだろうか。人の強欲さを戒めるような流れの作品かと思いきや、そうではない。理論立てて、すべてに整合性がとれているかというとそうでもない。よくわからない部分は超常現象的な力でごまかし、欲に目がくらんだわけでもない人々に、強烈な天罰が下る。ボタンを押してしまったがために…。入り組んだ仕掛けの物語を想像したが、ある意味シンプルだ。ボタンを押す押さないは、あまり関係がないような気もするが…。ただ、ラストの究極の選択は辛い。誰もが本作のような選択に行き着くのだろうが、それでも辛い。辛さばかりが残る作品だ。

■ストーリー

ある日の明け方、ノーマとアーサー夫妻のもとに見覚えのない箱が届いた。箱の中には赤いボタン付きの装置が入っていた。その日の夕方、スチュワートと名乗る謎の人物がノーマを訪ね、驚くべき提案をする。「このボタンを押せば、あなたは1億円を受け取る。ただし見知らぬ誰かが死ぬ…」。ノーマとアーサーは道徳的ジレンマに陥るものの、生活が苦しいこともあり、結局ボタンを押してしまう。が、それは想像を遥かに超えた事態の始まりだった。果たして2人の運命は!?

■感想
ボタンを押せば1億円。そんなうまい話があるはずがないと、誰もが疑うことだろう。本作のノーマとアーサーも同じように疑うが、最終的にボタンを押してしまう。ただ、ボタンを押すきっかけというのが、金がほしくて押すというのではなく、ボタンをインチキだと思ったから押したという流れだ。その結果、どんなことが起きたかというと…。ボタンを押すことにより、理論立って誰かが死ぬというのであれば、面白いのだが、本作はそうではない。ボタンを押すという行為が重要であり、そこからの繋がりはほとんど無視されている。

顔が半分えぐれたスチュワートという謎の男。そして、ノーマとアーサーの周りで起こる奇妙な出来事。ボタンを押したことによる、不幸がジワジワと迫ってくるのはよくわかる。ただ、その恐ろしさの元凶の姿が見えないだけに、よくわからないまま進んでいくような感じだ。見方を変えれば、なんだかわからないが恐ろしいホラー映画のように、その現象や出来事に対して正確な説明はない。アーサーたちが苦労する裏では、なにやら全ての鍵をにぎる存在の話が行われていたり。一部は壮大でありながら、メインの出来事が局所的なので、チグハグ感をおぼえた。

なにやらよくわからないが、大変なことが起きる。そして、ノーマとアーサーは、最後に究極の選択を迫られる。すべてはボタンを押したことから始まり、ノーマがボタンを押したときにも、同じように究極の選択で選ばれた結果があったという流れだ。この究極の選択は辛い。おそらく誰が選択したとしても、本作のような結末にはなるのだろうが、それにしても辛い。どうころんだとしても、みなが不幸になるだけだ。こんな辛い選択を迫られるならば…。この選択が本作のすべてなのかもしれない。

後味が良いとはいえない作品だ。



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