ウォーリー


 2012.6.21   なんともいえない愛くるしさ 【ウォーリー】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
予想外の面白さと深いストーリーだ。てっきり、子ども向けのアニメ映画に毛が生えたようなものかと思っていたら、地球の未来を描くような、そんな深いストーリーがすばらしい。ゴミだらけの地球に残された最後のロボット。ウォーリーの表情が、これまた哀愁ただよう垂れ目というのが良い。ついついかまいたくなるような、愛くるしい表情をしている。そして、機能的にはボロボロだが、心優しい一面や、何かを必死にやり遂げようとするその姿は、人を感動させる何かがある。未来の人の姿というのは衝撃的で、ゴミ処理ロボットが人類を再生させるというのが、なんだかとても皮肉に感じるが、全体としてのまとまりやストーリーのスムーズさがすばらしい。

■ストーリー

29世紀の荒廃した地球を舞台に、取り残されたゴミ処理ロボットの夢と冒険を描く感動のファンタジー・アニメーション。地上は荒れ果て、どこもかしこもゴミだらけとなった29世紀の地球。人類が地球を脱出した後に残された最後のロボット、ウォーリーは700年もの間たった一人でプログラムされたゴミ処理の仕事を続けていた。そして、彼は映画のようにいつか誰かと“手をつなぐ”ことを夢見ていたが…。

■感想
まるで人間のような感情を持つ清掃ロボットのウォーリー。ゴミだらけとなった地球に残り、ひたすら清掃を続けるこのロボットの姿は、なんだかとても愛くるしい。まずその表情が秀逸だ。垂れ目で原始的で自分で自分の体を修理するなんて、可愛すぎる。かと思うと、一つのことに必死になる姿もすばらしい。ウォーリーの姿というのは、よくあるお涙頂戴モノの主人公的な見た目ではない。いかにも人を泣かせるような容姿ではなく、その行動から人を感動させるというのは、人の心にすんなりと入り込んでくる。

未来の地球がとんでもないことになったとき、人間はどうなるのか。その答えは、ウォーリーが入り込んだ宇宙船にある。ブヨブヨの体と、歩くことを忘れた人類。ふと考えたのは、誰が働いているのかということだった。ただ、後半になると、すべてをコンピュータ制御された宇宙船の中では、人はただ家畜のように飼い慣らされているのだということがわかる。宇宙船の船長が、ゴミだらけの地球に帰るという決断を下したが、宇宙船の中での怠慢な暮らしを捨ててまで、地球に帰る決断には、無理矢理感を覚えてしまった。

人類が宇宙船から地球に帰ったあとを心配してしまった。オチ的には美しいが、その後どうなるのか?なんて疑問を補完するように、スタッフロールでは古代の壁画に見立てたその後の人類の姿が描かれている。まるで先祖がえりしたようなその姿。都合の良いハッピーエンドかもしれないが、映画としてはこれがベストなのだろう。結局ウォーリーとはなんだったのか、なんてことはどうでもよい。皆が幸せな結末を迎える、この流れがベストなのだろう。全ての人を平等に感動させる力が本作にはある。

子供向けのロボットアニメだけではない。



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