ウインドトーカーズ


 2012.11.26    非リアルな戦争アクション 【ウィンドトーカーズ】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
わかりやすい戦争モノ。ジョン・ウーが監督とういことで、基本的にはドンパチを繰り広げるのみ。その他には、ナバホ族を守るというちょっとした制約条件がついている。戦場で暗号化通信を行うためにナバホ族の言葉を使う。銃弾が飛び交う中で、仲間が死に、エンダーズ伍長の勇気ある行動により、事態が好転する。誰もがイメージするひと昔前の戦争映画のようだ。そこには、ほとんどリアルさのようなものはない。兵士たちの葛藤や感情の行き違いはあるにしても、想定内のことだ。極めつけは超わかりやすい死亡フラグまである。監督は人間ドラマを描こうとしたのだろうが、やはり好きなドンパチに力が入ったといった感じだろうか。

■ストーリー

1943年、南太平洋ソロモン諸島ガダルカナル。上官の戦死で小隊を指揮することになったエンダーズ伍長だったが、日本軍の猛攻の前に若い兵士たちを次々と失い、自らは負傷しながらも唯一の生き残りとして心と体に深い傷を負い帰還する。復隊が認められたエンダーズに課せられた新たな任務は、"ウインドトーカーズ"と呼ばれたナバホ族の通信兵とペアを組んで護衛し、彼の戦場での安全を確保することだった。しかし、真に必要とされたのは暗号の秘密の死守で、そのためにはいかなる犠牲を厭うなとの極秘指令も含まれていた……。

■感想
太平洋戦争時の日本軍と戦うアメリカ兵の物語。主人公のエンダーズ伍長をニコラスケイジが演じる。主役が主役だけに、わかりやすいドンパチモノとなる。過去の戦いで唯一の生き残りとなったことに負い目を感じ、死に場所を求めているようにも思える表情。深い人間ドラマを求めるわけではないが、序盤では複雑な兵士の心情を描いているようにも思えてきた。それが、中盤以降になると、銃弾の雨あられから始まり、地雷原への突破や、戦車との対決。果ては自国の戦艦から射撃という激しいドンパチのシーンが続くことになる。

戦争映画では、どれだけリアルさを感じさせるかが面白さの肝かもしれない。本作はリアルさで言えば、どうしようもない。監督が好きなハリウッド的アクション映画を、そのまま戦争映画に盛り込んだ感じかもしれない。火力は相当なもので、物語の大半が壮大な銃撃戦で占められている。そのため、ナバホ族との交流や、部隊内部での軋轢などは、申し訳程度に描かれてはいるが、結局ほとんど印象に残っていない。テレビ画面が火力で見えづらくなるほどの壮大さはすばらしいと思うのだが…。

ジョン・ウー監督は、フェイスオフのイメージが強い。アクションとしての面白さはかなりのものだが、それをそのまま戦争映画に持ち込むというのは、やはり無理がある。戦争を単純な人の殺し合いに置き換えてしまうと、それだけで随分と味気ないものになってしまう。日常の中に登場するアクションと、戦場のアクションでは見る側として大きく印象が違ってくる。ハリウッド大作的なアクションをいつまでも引きずり、無理矢理戦争映画に手を出すよりは、素直に現代アクションをやった方が数倍良いような気がした。

戦争映画にしては、リアル感のないアクションだ。



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