東京タワー オカンとボクと、時々、オトン


 2012.5.29   親孝行しなければなぁ 【東京タワー オカンとボクと、時々、オトン】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
原作は未読。リリーフランキーの半生を描いているのだろうが、人によっては強烈な感動ポイントがあるだろう。地方から東京へと出てきて生活する。規定路線だが、堕落した生活を続ける主人公。地方から東京へ出てきた者たちが、誰もが少しは共感できるだろう。さらには、母親の無償の愛と、周りの助け。今や売れっ子となったリリーフランキーがこんな生活をしていたのか、という驚き半分。親孝行しなければなぁ、という思いが半分といったところか。ちょい役として豪華な俳優たちが出演し、オカン役として実際の親子が若いときと晩年を描いているというのがすばらしい。泣けるポイントがあることは間違いない。

■ストーリー

母子の絆を描いた感動作。昭和の筑豊の炭鉱町で育った主人公・ボクが、平成の東京タワーの下で母・オカンを看取るまでを描く。

■感想
リリーフランキー役をオダギリ・ジョーが演じるのは、ミスキャストかと思ったが、そうでもない。あの気だるい雰囲気というのが良く表れている。オカン役を樹木希林が演じ、その若いころを内田也哉子が演じるというのが、そのまま配役のすばらしさに繋がっている。そのほか、チョイ役として登場した俳優たちも豪華だ。宮崎あおいなどが、ただ一つの場面に出るだけなんてのは、もったいなさすぎる。ちょっとした役に超有名人がでていると、それだけで目を引くが、チョイ役で終わっているのが、作品全体のレベルを上げているような気がした。

地方から東京へ出てくるというのは、まぁ、本作のような状況になりえるのだろう。瞬間的に感じる自由というのはすさまじい。誰も歯止めをかける人がいないので、堕落しようと思えば、際限なく堕落することができる。典型的なダメ人間街道まっしぐらのボクが、どのようにして再生し、成功していくのか。出世物語の要素も少しはある。ただ、その根底にはオカンに対する強い思いというのが常につきまとっている。このオカンにしてこの息子ありといったところか。

ある程度成功し、有名となってからもオカンとの生活を続けるボク。オカンがガンで入院し、抗がん治療に苦しむ姿というのは、見ていて辛くなる。結末はある程度想像できるが、それでも強烈な感動ポイントがある。地方から上京し、親と離れて暮らす者にとっては、本作はかなりくる。ある程度身構えていたとしても、心のちょっとした隙間に入り込み、感動を体中に伝えようとする。ラストに流れる福山雅治の曲も、いい感じに余韻があって良い。

地方から東京へと出てきた人には、たまらない物語だ。



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