テルマエ・ロマエ


 2013.7.2      主役の存在感がすべてだ 【テルマエ・ロマエ】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
古代ローマ人が現在の銭湯にタイムスリップする。まず最初に銭湯に驚き、そして日本人を見て、顔が平たいだとか、奴隷の文化だと言う。過去の人物がタイムスリップして現在の文明に驚くというのは、ある意味定番かもしれない。本作の特殊な部分は、驚くポイントが銭湯関連に絞られているということだ。

銭湯に描かれる富士山に驚き、着替えを入れる籠や、桶、最後にはフルーツ牛乳にまで驚く。それらがことごとく古代のローマに持ち込まれるあたりも面白い。現在の文化が、古代ローマ独特の味付けにより変化していく様は、見ていて楽しくなる。阿部寛扮する古代ローマ人がくそまじめに驚くリアクションが面白さを倍増させている。

■ストーリー

古代ローマと現代日本の“風呂”をめぐる冒険を描いたファンタジックコメディ。古代ローマ帝国の浴場設計技師が現代日本の銭湯にタイムスリップしてしまい…。

■感想
古代ローマ人が日本の銭湯にやってきたらどうなるのか。面白ファンタジーであることは間違いない。ポイントとなる場面では、必ず上戸彩が登場し、何かしら阿部寛と絡む。阿部寛の肉体が、まさに想像する古代ローマ人そのままというのが、さらに面白い。

濃い顔で、無駄な贅肉のない体。真面目なシーンであっても、阿部寛の濃い顔が画面いっぱいにアップになるだけで、笑いがこみあげてくる。キャストの面白さというのがかなりのウェイトを占める作品であることは間違いない。

日本の銭湯がそのまま古代ローマの風呂へと変わる。明らかな文明の違いも、阿部寛のとぼけた空想から、すべて奴隷たちが裏で動いていると考える。自動で開閉するトイレの蓋は、裏で奴隷が紐で引っ張って蓋をあけていると考え、ジャグジーは下から奴隷たちが空気を送り込んでいると考える。

むちゃくちゃだが、そのむちゃくちゃ加減が面白い。濃い顔でとぼけたことをくそまじめに語る阿部寛。それらに戸惑いながらも、恋心を抱く上戸彩。むちゃくちゃだが、上質のコメディとしての面白さを備えている。

ラストはタイムスリップものとしての定番の流れとなる。歴史が変わるのか、それとも…。現代の日本人たちが、古代ローマ人と協力し、銭湯の魅力を伝える場面では、なんだかわからないが妙な感動がある。シリアスな場面であっても、阿部寛の顔のアップがでるたびに、笑いがこみあげてくるのは、もはやしょうがない。

コメディとしての面白さの中に、不条理な部分や、濃い顔の人物たちが動き回るということだけで、笑えるシーンがある。やはりキャストの魅力と、主役の存在感により、コメディとしての面白さはどうにでも変わるという、見本のような作品かもしれない。

主役の面白さがすべてだ。


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