探偵はBARにいる


 2013.8.20     キャラ立ちした探偵 【探偵はBARにいる】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
ススキノを根城にする探偵が、怪しげな事件を担当することになる。行きつけのBARが探偵と連絡をとる唯一の手段。この探偵役を大泉洋が演じているのだが、もじゃもじゃ頭が松田優作を彷彿とさせ、軽妙な語り口と、見た目のユーモラスさから、探偵としてのキャラは立っている。

探偵ともなれば、危険な目に合うことはおりこみずみ。お決まりどり、命を失う危険に直面するが、そこは幸運と空手師範代の運転手の力で乗り切ってしまう。ドタバタ探偵ものだが、ミステリーとしての面白さもある。いくつかの事件が複合的に、最後にはひとつの結末が見えてくる。トリックというよりも、探偵の右往左往する姿の面白さを楽しむべき作品かもしれない。

■ストーリー

舞台は札幌・ススキノ。この街の裏も表も知り尽くした探偵は、いつものように行きつけのBARで相棒兼運転手の高田と酒を飲み、オセロに興じていた。そこへ“コンドウキョウコ”と名乗る女から電話が…。職業柄、危険の匂いには敏感なはずが、簡単な依頼だと思い引き受け、翌日実行。

だがその直後に拉致され、雪に埋められ、半殺しの目に遭ってしまう。怒りが収まらぬ探偵の元に、再び“コンドウキョウコ”から電話が…。その依頼を渋々こなし、自力での報復に動き出した探偵と高田は、知らず知らずのうちに事態の核心に触れていく。その過程で浮かび上がる、沙織という謎の美女と大物実業家・霧島の存在。そして、探偵は4つの殺人事件にぶつかる…。

■感想
大泉洋が探偵役ということで、確かに個性はある。面白キャラにもなれるし、シリアスもいける。ユーモラスな探偵役としては、はまり役だろう。連絡手段がBARへ電話するしかないという、古い話になるが、まるでシティーハンターのように、謎めいた探偵。その実態は、ギャグにも対応できる面白探偵となっている。

奇妙な依頼をうけた探偵が、いつの間にか事件に巻き込まれ、危うく死にそうになる。探偵としての能力はさておき、依頼人に翻弄され、右往左往する姿というのは面白い。大泉洋が演じているだけに、なおさら面白部分が強調されているようだ。

探偵と共にキャラ立ちしているのが、空手師範代の北大生の高田だ。ぬぼっとした表情だが、空手でヤクザを返り討ちにする。探偵を助ける役目だが、おんぼろ車に話しかけたりと、やはりお笑いの要素が強いキャラクターとなっている。

この二人が、どんな絶体絶命の危機に直面しても、飄々と危機を切り抜けてしまう。そして、肝心の事件を解明しようと奔走するのだが、うまくはいかない。事件の本質や、トリックなんてのはあまり重要ではない。探偵が、依頼人の希望を叶えようと奮闘する場面が、なんだか妙に面白い。

舞台が北海道ということもあり、主役が北海道出身の大泉洋なのだろう。その他のキャラたちも、個性豊かで面白い。ヤクザはヤクザ風な風貌をし、チンピラはチンピラ風な恰好をする。雑魚キャラはそれなりな姿をし、探偵と高田にやられるために、集団でふたりに襲いかかる。

ステレオタイプな展開であることは間違いない。ただ、キャラの面白さで物語を引き締めている。ユーモアの要素が異様に笑えるのは、やはり主演の力なのだろう。シリアスもそれなりにいけるというのが、驚いた部分かもしれない。

北海道のヒーローを主演にした、ススキノの映画。地元密着で良い。


おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp