2011.12.4 就活生必読! 【シューカツ!】
評価:3
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■ヒトコト感想
就職活動について、そこまで辛い思い出はない。幸運なことに、気付いたら決まっていたという感じだ。本作は難関企業を志望し、ヒリつくような就職活動をする大学生の物語だ。就活とは本来これほど辛く苦しいものなのだろうか。短い期間の活動で、その後の人生何十年かがすべて決まってしまう。受験のように正解があるわけではなく、失敗すると容姿や学力や性格など人間自身を総合的に否定されたような気持ちになるのだろう。あまり何も考えずに就職活動をしていた身としては、神経の磨り減るような毎日を過ごす今の学生を気の毒と思うしかない。辛い就職活動を未経験の人も、これから経験する人も、経験してきた人にも読んでほしい。現実の厳しさと、仕事に対する思いというのを見直すきっかけになるだろう。
■ストーリー
大学3年生の水越千晴は学内の仲間と「シューカツプロジェクトチーム」を結成。目標は最難関マスコミ全員合格!クールなリーダー、美貌の準ミスキャンパス、理論派メガネ男子、体育会柔道部、テニスサークル副部長、ぽっちゃり型の女性誌編集志望と個性豊かなメンバーの、闘いと挫折と恋の行方
■感想
考えてみれば、人生において重要な試験というのは高校受験や大学受験とされてはいるが、今の時代は就職試験なのだろう。受験勉強のようにこれという正解がない。就職試験に失敗するということは、自分のアピール不足もあるのかもしれないが、人間自身を否定されたような気持ちになる。その後何十年も勤め続ける企業への第一関門。実際には、仕事が始まってからも辛いことはいくらでもあるが、そのスタートを短い期間で選別されるというのは酷なことだ。幸運にも就活の辛さを経験していないが、本作を読んで、あらためて自分の運の良さを実感してしまった。
物語は、就職活動中での様々な困難や、仲間の挫折などがわかりやすく描かれている。難関企業へ入社する難しさ。マスコミでのインターンの経験。主人公である千晴は、順風満帆の就職活動を行うわけではない。ほぼ内定が決まったと思われた場面での、思わぬ落とし穴。ひとつの失敗から頭が混乱し、そこから数珠繋ぎに不安が押し寄せあたふたしてしまう。その状況は簡単に想像できるだけに、強烈に心に残る場面だ。あとほんの少しの辛抱で、あこがれの企業に就職できたはずが…。人生の終わりというほどの強烈なショックなのだろう。
これから就活に挑む人にはぜひおすすめしたい作品だ。物語として多少誇張されているのだろうが、ノンフィクションくらいに受け止めていた方が、実際に危機に直面したとき、冷静に受けとめられるだろう。面接のときの心構えや、開き直った対応など、就活本を見て勉強するよりも、何倍も効果がありそうだ。就職活動だけでなく、今現在社会人として働いている人にとっても、仕事というものに対して、感じるものが絶対にあるだろう。よく考えれば就職活動は、働かせてくださいと必死に頼んでいる状況だ。実際に働き始めると、そのことを忘れグチ三昧になる。自分の仕事へのスタンスを見直すきっかけにもなった。
人生において最も重要な試験。それがシューカツだ。
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