少年メリケンサック


 2011.3.2  宮崎あおいのキレ方最高 【少年メリケンサック】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
面白すぎる。くだらないが面白い。ありえないが、笑えてしまう。少年メリケンサックというパンクバンドが25年ぶりに再結成し、ライブハウスを周っていく。キャラクターがめちゃくちゃでセリフのひとつひとつが面白い。パンクの描写もすさまじいが、極めつけは宮崎あおいのキャラクターだ。見た目は清純で明るく爽やかなキャラなのに、怒りをあらわにし、顔を曲げてすごむ。最初はおっさんたちに遠慮していたのか、後半ではパワー全開となっている。何か大きなテーマがあるとか、オッサンたちが協力して何かを成し遂げるなんていう感動作ではない。ただ、パンクバンドのパワーと、特殊なキャラたちが暴れまわるという感じだ。宮崎あおいのキャラがいることで、随分と面白くなっている。

■ストーリー

レコード会社OL・かんな(宮崎あおい)が、動画サイトで見つけた〈少年メリケンサック〉のライブ映像。そこには凶悪な絶叫パフォーマンスのイケメンが!!契約を取るために会いに向かうと、そこにはなぜか酔い潰れた50歳すぎのオッサンが!!「これ誰っ!?」・・・かんなが見つけた映像はなんと25年前のものだったのだ。かんなの驚愕をよそに、〈少年メリケンサック〉の人気はネット上で大爆発!サイトはパンク寸前!全国のライブツアーが次々と決まっていく・・・。このまま出たら暴動必至。

■感想
最初からずいぶんとぶっ飛んだ作品だなぁという印象があった。そのテンションを最後まで保つのはすばらしいが、飽きさせないのもすばらしい。唐突に始まる物語で、パンクバンドの必然性がない。25年前のパンクバンドが、オッサンとなって復活し、客が熱狂するなんて都合が良すぎるように思えるが、細かなことが気にならないパワーがある。くだらない会話がいちいち面白く。現実のアーティストを彷彿とさせるようなヘンテコなキャラを登場させ、常に笑いを意識した作りになっている。暴走しがちな笑いの中で、かんな(宮崎あおい)がストッパーとなっているおかげで、物語が締まっている。

ブラックな笑いをかまわず放り込んでいる。ギターとベースに頭を殴られ、言語障害に陥ったボーカル。このボーカルのかつぜつの悪さをネタとし、最後のオチとしても用いている。かなりインパクトがあるというか、これほど思いっきりの良い作品はなかなかないだろう。まさかとは思うが、パンクバンドが皆この手の感じだと思う人はいないだろう。めちゃくちゃなパワーというか、熱量を感じることができるだろう。強烈なインパクトがあるのは間違いない。

オッサンたちが復活し、若き日の熱き魂を思い出すなんていう美談ではない。ろくでなしに成長したオッサンたちが、いい歳して好き勝手なことを繰り返す。そこに大人らしい倫理感など一切ない。少年の心を持ったオッサンたちということであれば、少年メリケンサックというバンド名はぴったりだろう。そんなやっかいなオッサンたちのお母さん役でもある宮崎あおいが、すべてにおいて良い味を出している。聞き分けのないやんちゃな子供に手を焼くお母さんのように叫ぶ。それがまた絵になっているからすばらしい。

宮崎あおいの演技は必見だ。



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