スイングアウト・ブラザーズ  


 2012.6.22   読めば誰でもモテ男? 【スイングアウト・ブラザーズ】

                      評価:3
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■ヒトコト感想

作者がエッセイなどで、常日頃から主張していることを、そのまま物語にしたような作品だ。少子化の原因は、恋愛に奥手な男に原因がある。一貫した作者の主張が、モロにそのまま物語化され、モテ男養成講座ができあがっている。作中に登場する三十過ぎの男たちは、どこか問題があり、女性に対して奥手となる。本作を読んだからといって、モテ男になれるわけではない。そもそも、モテない奥手の男が、作者のエッセイや物語を真剣に読むとは思えないので、あまり啓蒙的な力はないだろう。作者の主張そのままの物語なので、男たちは素直にモテるために努力をする。なんとなく、しっくりこない気もするが、まるっきり的外れではないのだろう。本作を読んでモテ男になった人がいるならば、会ってみたい気はした。

■ストーリー

ほぼ同時に彼女に振られて失意のどん底にある三人は、大学時代の同級生。あこがれていた先輩・河島美紗子と再会し、彼女がはじめた男性向けエステの第一期特待生になった。見た目だけでなく内面も磨き上げ、目指すはずばり、モテ男。空振り三人組は美紗子が揃えた腕利き講師たちが用意する課題の数々をクリアし、見事モテ男になれるのか。

■感想
世間で叫ばれている少子化問題を作者なりに考えた結果、奥手な男たちが悪いというのが作者の主張だ。それは、作者のエッセイでも毎回語られていることなので、新鮮さはない。本作では、そんな奥手な男たちに向けて、モテるためには何をしなければならないかが、作中の男たちを通して語られている。エステで体をケアし、ファッションに気をつかう。知性を身につけ、女性との会話の訓練をする。まぁ、ありきたりかもしれないが、まるっきり的外れだとは思わない。ただ、本作のことをそのままやったからモテるなんてことは、絶対にありえないと思った。

本作の舞台は、東京都内に勤務する男をターゲットとしている。それなりに金はあり、仕事もちゃんとしているが、モテない男たちが主人公だ。肝心のモテ講座というのが、若干ハードルが高く感じるのは気のせいだろうか。男でエステに通うなんて人には、今までの人生の中で出合ったことが無い。そこまでしなければ、モテ男になれないのだろう。髪が薄い男や、肥満体型の男など、三人の男たちはバリエーションに富んでいる。男たちは、彼女にふられた直後という設定だ。彼女がいたのならば、まるっきりモテないとは言えないのでは?と思ってしまった。

作者の主張は一貫しているので、ブレることはない。あくまでもスマートなモテ男を目指し、最大公約数的なモテを目指すと、行き着く先は本作のようになるのだろう。もちろん、外見や知性だけでなく相手のことをどれだけ理解し、相手の本心を引き出せるかということも、重要な要素となっている。なんだろう。読み終わってもそれほど心に残らない軽い物語のせいか、内容までもが、軽く感じてしまう。良いことはたっぷりつまっているのだが、サラリと軽薄的な雰囲気が終始拭い去れないのは、作者の文体のせいだろうか。

奥手な男は、そもそも本作を読んでモテ男になろうなんて思わないだろう。




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