---

　2012.4.3 　　恋をしないのは男のせい？　【白黒つけます！！】

---

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 評価：3
石田衣良おすすめランキング

■ヒトコト感想
作者が新聞紙上で読者に質問を投げかけ、その結果から白黒判断をつける。質問内容は作者らしく、男女間のことが多い。アンケートの結果、特別驚くような答えが導き出されたわけではない。おおむね自分と同じ意見のような気がした。アンケート結果が年代と男女別に分かれていることで、その意見の違いがわかるのは良い。印象としては、歳をとった人ほどやはり保守的なのだなぁという感じだ。別に若者ぶるわけではないが、若者側の意見と自分の思いは一致していた。質問の中には、答えにくいようなものや、自分でも何がいいのかわからないものもある。そんな時は、他の人がどんな意見をもっているかがわかるのは、結構いいことなのかもしれない。

■ストーリー
恋しなくなったのは男のせい?女のせい?年齢差恋愛、パートナーの携帯チェック、浮気、セックスレス結婚という身近な恋愛の問題から、小学生の英語教育、携帯電話所持、愛国心・性教育などの教育問題、はたまたフリーター、ニート、将来の暮らし、人口減少、格差社会まで、悩ましい問題を人気作家が華麗にジャッジ。20万人が参加した白熱の投票から現代ニッポンが見えてくる、人気コラム待望の文庫化。

■感想
いきなり「恋をしなくなったのは男のせい？女のせい？」なんて質問からスタートする。まぁ、男のせいなんだろうなぁと思っていたが、世間の考え方もだいたい同じようだ。作者がそれに対してコメントするのだが、そのスタンスは一貫している。小説作品や、エッセイなどで主張しているような内容となっている。新聞での連載ということで、必ずしも作者のファンばかりが答えたわけではないだろうが、作者の小説作品と同じような意見が多いのには驚いた。ということは、作者の作品というのは、おおむね世間の声を代弁しているのだろうか。

「パートナーの携帯チェック」なんて質問では、自分ならば絶対にしないし、相手にもしてほしくないが、たぶんチェックする女性が多いんだろうなぁと予想したが、そのとおりになった。男女間での違いも明確であり、ある意味予想通りで面白くない。ただ、携帯チェックする側としての意見にも様々な内容があるということがわかった。世の男子たちは、本作を読むことで、もしかしたら男女間を円滑にすすめるための参考になるかもしれない。それは何も若者だけでなく、熟年離婚なんてのも質問にあるだけに、中年世代のオヤジたちにもおおいに参考になることだろう。

格差社会や人口減少に教育問題と、男女間の話以外の質問もある。そのあたりは、作者の小説作品でも大きくとり上げられているので、わかりやすい。作者本人はそれなりに良い暮らしをしていはいるが、作者の考えは弱者に対して手を差し伸べる考えだ。何か劇的に事態を解決するようなアイデアをだすわけではない。ただ、今の状態ではダメで、何かをしなければという強いメッセージは感じることができる。作者なりにそのメッセージを小説作品として発信しているので、作者のファンならば、本作の結論には納得できるだろう。

世間の考え方と自分の考え方がズレているのか、どうなのか、本作を読めばわかるだろう。