サンシャイン・クリーニング


 2012.1.24  ピンチを乗り切る新たな仕事 【サンシャイン・クリーニング】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
姉と妹の再生物語とでもいうのだろうか。過去の栄光にすがりながら先の見えない生活を続ける姉・ローズと、何をやっても長続きしない、やりたい放題の妹・ノラ。二人は偶然出会った事件現場のクリーニングという仕事を通して変わっていく。二人の性格の違いとローズの息子が問題を抱えていたり、父親がへんてこなものばかりを売り歩いていたりと、姉妹の周りの環境は決して良いとはいえない。それでも、二人が新しい仕事にやりがいを見出すのは元気がでる。決して人に誇れるような仕事ではないかもしれないが、必死に頑張る姿を見ると、楽しくなる。ただ、そんな生活がいつまでも続くはずもない。周りの心優しき人たちがあるからこそ、成り立つ物語だろう。

■ストーリー

高校時代はチアリーダーのアイドル、30代の今はシングルマザーでハウスクリーニングの仕事をする傍ら、かつての恋人と不倫中の姉・ローズ。妹・ノラは父親と実家暮らしを送っている。ローズは家族のピンチを乗り切るため、妹と一緒に事件現場をクリーニングする、ちょっと危ない“清掃業”をスタートさせるが…。

■感想
この不幸というか、奇妙な姉と妹、どちらに感情移入できるだろうか。どちらかといえばしっかり者で向上心のある姉。何に対してもやる気を見せない妹。この手の姉妹であれば、姉だけが堅実に生きるという図式のはずが、実はローズも問題が山積みである。学生時代にアメフトのスターだった元カレと今も不倫を続けていたり、高校時代の同級生たちに対して見栄をはろうとしたり。このあたりは、ノラよりもローズの方が痛々しく感じてしまう。心の奥底にあるコンプレックスが、常にマグマのようにふつふつと煮えたぎっているような感じだ。

ローズと比べるとノラはわかりやすい。典型的な遊び人で、バイトをしてもモメて長続きしない。姉に誘われてクリーニング業を始めるが、それも軌道にのり始める前に、なんだかんだと不満を口にする。ノラとローズの対立というのは、二人の境遇以上に激しいものとなる。実は二人の根本はそれほど変わらないのに、どこかで同属嫌悪的なものがあるのだろうか。周りの心優しき人たちや、問題のあるローズの息子と父親の存在によって、姉妹たちにほのぼのとした雰囲気を与えている。

事件現場を清掃するという危ないクリーニング。確かにニッチな業種かもしれないが、そこにやる気を見出すあたりが面白い。金がいいからといって、かんたんにできるようなことではない。誰もが嫌がる仕事だからこそ、高い料金が支払われる。姉妹たちは過酷な仕事にも関わらず、仕事以外にその事故現場で出会う人たちへのケアまでもやってしまう。行き当たりばったりな感じがよくでており、とんとん拍子に進むクリーニング業にもしっかり落とし穴があるのが良い。

最後にしっかりと希望の光があるのが一番だ。



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