ロード・トゥ・パーディション


 2012.9.18    子連れ狼風? 【ロード・トゥ・パーディション】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
ギャングものとしてのポイントはしっかりとおさえられている。凄腕ギャングが偶然の出来事から仲間に追われることになる。そこに息子も含まれているとなれば、サリヴァンは身動きがとりづらい。たくみな状況操作と、そうならざる得ないような事態とし、逃げ場をなくす。サリヴァンが凄腕の殺し屋としての力を示せば示すほど、そこに息子がいるということに、なんらかの違和感をもつ。本作でもっとも印象的なのは、間違いなく殺し屋のマグワイヤだ。殺しの死体を写真に撮ることを趣味とする異常な男。見た目は普通だが、その言動と行動が異常であれば、より異常性が際立つ。息子を連れたまま、サリヴァンはこの殺し屋の追撃をかわすことができるのか、気になってしかたがない。

■ストーリー

時は1931年、大恐慌の真っ只中のアメリカ。アイルランド系ギャングの殺し屋マイケル・サリヴァンは、父親のような存在のルーニーの片腕として働いていた。しかし、12歳の長男がルーニーの息子の殺しの現場を目撃したことから、妻と次男が殺害される。生き残った父と息子は復讐と救済を求めてシカゴに旅立つが、ルーニーは実の息子の犯した罪に気付きながらも、残虐な殺し屋マグワイアに後を追わせる。凍てつく冬から緑萌える春に移ろう季節。パーディション(地獄)という名の町を目指す苦難の旅で、強い絆が生まれ始めたふたりの行く道に待つものとは・・・。

■感想
本作は親と子の関係の、強い繋がりが描かれていると最後に気づいた。息子の存在はサリヴァンにとってただの足かせでしかなく、殺し屋たちから逃げまどう際の、制約でしかないと思っていた。息子が、ある事件を目撃した結果、家族が殺されてしまう。巨大な組織からどのようにして逃げ出すのか。凄腕の殺し屋であるサリヴァンが、息子を抱えながら、どのようにして切り抜けるのか。サリヴァンのすさまじさをアピールするため、息子は添え物でしかないかと思いきや、そうではなかった。

サリヴァンを追いかける殺し屋のマグワイヤが強烈だ。見た目は普通なのだが、その異常性が際立っている。死体の写真を撮ることを趣味とする。その登場シーンだけで、なんだかよくわからない鳥肌が立ってしまった。そんな異常な男に追い掛け回されるサリヴァン。息子と協力し、逃避行を続けるのだが、逃げながらも前に進んでいる。このあたり、あっさりとある結論に至るのだが、ストーリーとしてまどろっこしさがなくて良い。単刀直入に、見せ場だけを連続して登場させているようで、見ていて飽きることがない。

この手の作品のオチとして、ある程度先は想像できた。サリヴァンたちを罠にはめた男は、それなりの報いを受けることになる。すべての決着がつき、サリヴァンは息子と二人で平穏な日常を過ごすものとおもわれていたのだが…。なんとも言えない余韻のあるオチだ。やはり総合的に、マグワイヤの強烈なインパクトばかりが心に残っている。最後も、サリヴァンにやられた右目のインパクトと、その異常な趣味ばかりが心に残る。本来なら、バッドエンドのはずが、そう思えないのが不思議でならない。

ギャングものとしての王道がおさえられている作品だ。


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