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 2011.3.3  人間不信になる? 【リクルート】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
いったい誰が正しいことを言っているのか。実戦での出来事だと思わせておきながら、実際にはCIAの訓練のひとつである。それが、繰り返され、次こそは本当に訓練の成果が試される実戦だと思いきや、そこでも訓練というオチがつく。騙され続けると、すべてを疑いの目で見てしまう。それは登場人物のジェイムズであったりレイラも同じ気分なのかもしれない。騙され続けると、ある程度先読みしてしまう。すると今度はそれを逆手にとり、訓練だと思わせながら、最後は正真正銘の実戦となる。まさかの結末を疑ってしまったが、さすがにそうはならなかった。ただ、いったい誰の言うことが正しいのかという疑問は、常に付きまとったまま見ることになるだろう。人間不信になる可能性がある。

■ストーリー

不審な死を遂げた父の謎を解明したいという思いと、スリリングな生活を送りたい気持ちからCIAに入る決意をしたジェイムズ。だが彼を待っていたのは友情や愛をも利用する非情な訓練だった。やがて彼に初のミッションが下される。それはCIAに採用された二重スパイの摘発。しかもそのターゲットはジェイムズが愛する女性レイラだった……。

■感想
CIAというと、秘密組織という印象が強い。それを逆手にとり、何をやるにも秘密づくめで、訓練生さえも騙してしまう。いったい誰が正しいことを言っているのか。物語は疑心暗鬼のまま登場人物たちが混乱するのと同じように、観衆も誰の言うことが正しいのかわからなくなる。興味深いのは、本当かどうかわからないが、CIAの訓練風景だ。あらゆる場面を想定し、エリートばかりを集め、さまざまな訓練を行う。とりわけ嘘発見器に対しての場面があとあと重要になるということで、クローズアップされているのが印象深い。

アルパチーノが強烈な存在感を放っているのはいつものことだが、コリンファレルも悪くなかった。偽ブラッドピットのような印象が最初は強かったが、本作ではしっかりと自分の個性をアピールしている。自信に満ち溢れた表情をしたかと思うと、ちょっとしたことで心細い表情となり、さらには落ちこぼれに様変わりする。エリートというよりは、どこか泥臭く、独特の個性がある役が似合っているのだろう。本作でもアルパチーノに気に入られる役というのがピッタリとはまっている。

ラストは二転三転する中で、最後の最後にまさかの結末を想像してしまった。すべてがCIAの訓練だといわれたとしても、今までの流れからいうとありえなくもないと思ってしまう。それまでに何度も同じような展開から、結局訓練でした、という流れになっていたので「まさか」という気分を最後まで拭い去ることはできなかった。観衆にこう思わせることができたということは、監督の勝利なのだろう。騙し騙されの展開の中、先が見える展開は面白くない。本作の騙され方は心地よい騙され方かもしれない。

悔しさはないが、すっきりとした騙され方だ。



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