泳ぐのに、安全でも適切でもありません  


 2012.4.23   男にとって女は未知のもの 【泳ぐのに、安全でも適切でもありません】

                      評価:3
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■ヒトコト感想

女が主人公の短編集。女性目線なので、当然男である自分が読むと、とまどう部分がある。愛に生きる女や、奇妙な男女関係の話など、普通ではないが、普通の人が経験するかもしれない物語ではある。女性が本作を読んだとしたら、どのように感じるのだろうか。感情移入し、自分の恋愛と照らし合わせたりするのだろうか。どうしても男目線で読んでしまうため、主人公の女性たちの気持ちが理解できない場面がある。ただ、その理解できない加減が、女の不思議さのような気がした。男では決して絵にならないような場面であっても、女だとしっくりくる。どこか浮世離れした雰囲気と、女性ならではの、ふわふわとした感覚を感じることができる短編集だ。

■ストーリー

愛を通して人生を切りとる傑作短篇集。安全でも適切でもない人生の中で、愛にだけは躊躇わないあるいは躊躇わなかった10人の女たち。愛することの喜び、苦悩、不毛……。

■感想
印象に残っている作品は、男がそれなりに重要な役目を担っている作品だ。「うんとお腹をすかせてきてね」は、裕也と美代の二人の相性のよさと、食べ物を沢山食べるということばかりが印象に残っている。愛についてあれこれと語られてはいるが、この独特な雰囲気が作者の色のように感じた。食事とSEXがまるで近い行為のように、二人の密接度が食事に反映されている。二人の出会いが運命なのかはわからないが、これほど愛し合った二人であっても、他人として存在するということを思い知らされる作品だ。

「動物園」は、子供を好きになれない夫をもつ妻の話だ。奇妙な夫婦関係であることは間違いない。この関係にリアリティを感じることはできないが、ついつい自分と照らし合わせてしまう。当然夫目線で考えてのことだ。子供は好きだが、どうしたらいいかわからない夫。それをすんなり受け入れ、別居生活であっても満足する妻。本作を女性が読んでどう思うのか知りたい。創作に常識を求めるつもりはないが、女性の気持ちというのは、本当のところどうなのだろうか。本作からは読み取れなかった。

「犬小屋」も「動物園」に近い雰囲気かもしれない。男女間の関係の話だが、好きな男がある日突然犬小屋で眠り始めた。そこから感じるのは、女に対して何かしら嫌気がさしているということだろう。女はそれを理解しつつ、幸せのかけらを見つけて生活し続ける。言葉では愛を語りながら、犬小屋で眠る男。不自然な関係での女の心境は冷静だ。もっとわかりやすい行動にでるのであれば、理解しやすい。この作品での女性心理全般に言えるのだが、男には理解しずらい。回りくどいのか、なんなのか。

男にとっては、女は常に未知なるものだ。




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