オールド・ルーキー


 2012.12.11    夢をあきらめないおじさん 【オールド・ルーキー】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
実話を元にした作品。元野球少年が、父親の仕事の関係でなかなか野球ができず、夢をあきらめ高校教師となる。野球部のコーチとして勤めるジムが35歳にしてプロテストを受け合格する。これが実話ということに驚いてしまうのだが、実話らしい部分がある。なぜ、突然剛速球が投げられるようになったのか。本人もわからなければ周りもわからないため、詳しく描かれていない。奇跡としかいいようがないのだろう。マイナーリーグからメジャーへと昇格し、史上最年長のルーキーとなる。年齢的に夢を追いかける年齢ではない。作中でもそのあたりに触れられているが、本作を見ると勇気づけられる部分があり、恐ろしい部分もある。成功したから良いものを、もし失敗していたら…。メジャーデビューするまでの感動作だ。

■ストーリー

高校教師をしながら、野球部のコーチを勤めるジムの少年時代の夢は「メジャーリーガーになること」。彼は35歳でプロテストを受け、156~160キロの剛速球が認められ、マイナーリーグを経て、ダンパベイ・デビルレイズのピッチャーとして、メジャーリーグ史上最年長のルーキーとしてデビューを果たした。1999年、野球界の話題をさらったジム・ミルズの実話の映画化。アメリカン・ドリームを体現した男を支えたのは野球への情熱だけではなく、彼のリスキーな夢を見守り続けた家族の姿があった。彼を叱咤し励ます妻の存在の大きさ、夢の実現に向かって必死の父を尊敬の眼差しで見つめる息子など、家族のきずなの深さには胸を打たれる。

■感想
最年長のルーキー。アメリカンドリームを実現したとして、メディアではさぞ話題になったことだろう。日本で、本作のような話題を聞かないのは、メディアが取り上げないからなのか、それとも保守的な日本人には、35歳からプロ野球に挑戦するなんてことが、許される土壌がないのだろうか。アメリカでは、年齢はあまり関係ないとよく言われる。初対面で年齢を気にするのは日本だけらしい。だとしても、野球でプロになろうとするならば、避けては通れないのが年齢だ。だからこそ、本作のベースとなる実話が話題になったのだろう。

ただの高校野球の監督が、突然剛速球を投げられるようになるだろうか。少年球児だったとしても、突然というのは疑問が残る。作中では、野球で成功しなかったのは、父親のせいのように描かれている。それは本人がそう思ったからだけであり、実際は他に原因があるようだ。作中でも母親にそのあたりをたしなめられている。35歳からチャレンジするのは並大抵のことではない。家族があり、その生活を守る義務もある。安定した教師を辞め、メジャーに挑戦なんては、普通はできない。だからこそ、それにチャレンジし、成功したのはとてつもなく強烈な出来事なのだろう。

本作はメジャーデビューを飾り、それで終わっている。マイナーからメジャーに上がることの厳しさを描きつつ、ドサ周りのような生活を中年のおじさんが続ける辛さも描かれている。若者が夢をあきらめきれずに、ひたすら前に進む姿は美しい。おじさんが家庭を顧みず、ただひたすら自分の好きなことを続けるというのとは、また意味が違う。本作も、一歩間違えれば、勘違いおじさんの無謀な挑戦のように見えてくる。マンガのように突然剛速球が投げられるようになれば、ある日突然、投げられなくなる可能性もある。自分だったら、否定的な可能性が頭をよぎり、チャレンジできないだろう。

オールドルーキーという響きは、おじさんたちに夢を与えてくれる。



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