オカンの嫁入り


 2012.7.5   母親の婚約者が良い味だしてる 【オカンの嫁入り】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
母ひとり、子ひとりの関係で、母親が突然、再婚相手を連れてくる。状況的に娘は驚くだろう。さらにその再婚相手が金髪の、自分と歳があまり変わらない男だったりするとなおさらだ。月子が家を飛び出したくなる気持ちはよくわかるが、本当に飛び出してしまうのは大人気ない。中高生ではないのだから、と思ってしまう。ただ、複雑な状況であり、母親が酔っ払って醜態をさらしていたりすると余計そう思うのだろう。母と娘のギクシャクとした関係の中で、母親の結婚相手である研二が良い味をだしている。カッコウはチャラいが、根はまっすぐで純粋な男。元板前ということで、料理がうまいというのも、好印象の一因だろう。実は母娘の関係よりも、研二の存在によってすべてがうまくいっているような気がした。

■ストーリー

母ひとり、子ひとりで生きてきた母娘。ある日の深夜、母・陽子が酔っ払って若い金髪の男・研二を連れて帰って来た。翌朝、「この人と結婚することにしたから」と言う陽子に、娘・月子はとっさに家を飛び出してしまう

■感想
母親が突然再婚相手を連れてくる。それも若い男だ。なんだかんだで、親子関係がギクシャクするのは定番だろう。ただ、父親と息子とではこうはならない。母親と娘だからこそ、本作のような感じになるのだろう。突然やってきた男が金髪でチャラい格好をしている。母親は母親で、娘の考えはお構いなしに、好きなことをする。月子一人がストレスを抱え込んだ状態というのがよく表現されている。そして、周りは月子側につくような人たちばかり。環境がその二人の関係に大きな影響力を与える物語だ。

母親の結婚相手である研二がすこぶる良い味を出している。苦労していながら、それを表情にださない楽観的な性格。料理がうまく、相手のことを思いやり、純粋でまっすぐな性格。少し頭が弱いような気もするが、このまっすぐさが良い。母親と月子が対立していたとしても、研二はマイペースだ。いつの間にか、研二が母娘の緩衝材のような役目となり、すべてを丸く治めるための重要なパーツとなっている。月子自身が、精神的な問題を抱えているというのも、物語にメリハリをつける効果がある。

物語の流れとして、後半はある意味予想通りの展開となる。なぜ母親が三年も付き合った研二と突然結婚すると言い出したのか。涙なしでは見られない後半へと繋がっていく。ある程度予想していたので、衝撃はない。それでも、母ひとり娘ひとりの生活を考え、なおかつ月子が社会復帰するために奮闘する母親の姿を見ると、涙せずにはいられない。研二のよくわからない前向きな考え方によって、ラストは湿っぽくならず、希望のもてる終わり方となる。

研二のキャラクターが、物語をすばらしいものへと昇華している。



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