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　2011.1.31　　あちらを立てれば、こちらが立たず　【みんあのいえ】　　HOME

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評価：3

■ヒトコト感想
家を建てるというのは人生の一大イベントだ。気に入った家を建てるために、考えに考えを重ねて慎重に事を進めていく。そんな状況でありながら、家を設計するのが癖のあるインテリアデザイナーで、実際に家を建てるのが古臭い考えをもつ父親だ。この状況だけで二人の対立は予想できる。家を建てるということにそれぞれの譲れないこだわりがあり、それが面白おかしく描かれている。秀逸なのは、軽めの笑いが連続して登場してくるということだ。キャラクターとしてはむちゃくちゃだが、それがいちいち面白い。ヘンテコな会話シーンや、勝手に和室を広げてしまうなど、あたふたする人々の姿を見るのも楽しい。ありえない状況だが、一大イベントへの意気込みというのは強く感じてしまう。

■ストーリー
人気脚本家、三谷幸喜の監督＆脚本によるホームコメディ。脚本家の飯島夫妻（田中直樹＆八木亜希子）が、新居を建てることになった。ところが和室にこだわる棟梁（田中邦衛）と、モダンな家にしたいインテリアデザイナー（唐沢寿明）は、ことごとく対立。夫妻はオロオロしてしまう…。

■感想
タイトルどおり、家を建てるのは夫婦のためではなく、みんなのために家を建てているような感じだ。癖のあるインテリアデザイナーと頑固な棟梁との対立関係はもちろんのこと、優柔不断な飯島夫妻の言動も面白い。アメリカナイズされたデザイナーが変わった家を提案すれば、棟梁は古臭い家を建てようとする。はっきりいってどちらの意見もぶっ飛びすぎている。真っ当な意見を言うものがいないので、極端な二人の対立をただ見守るしかない。玄関が外開きだとか内開きだとか、なんだかちょっとした議論がいちいち面白い。

家を建てる夫婦の親戚連中もこれまた面白い。家を建てる者へのやっかみがあるのだろう。もめることへの野次馬根性まるだしなのが面白い。親戚のあっけらかんとした表情は、嫉妬と皮肉が合わさったような表情をしている。作品全体をとおして、人の感情というのがものすごくよくわかり、同じくらい共感できた。題材が家を建てるというだけで、世間一般の家庭には似たような問題は多いのだろう。あらゆる方面からの意見を参考にしながら決めなければならないこと。あちらを立てればこちらが立たず…。これはもはや誰もが避けて通れない宿命かもしれない。

家を建てるということには誰もが慎重になる。それを逆手にとった本作。優柔不断な夫の行動が、物語をさらに面白いものにしている。棟梁とデザイナーの対立も、突き詰めれば職人のプライドということで、なんだかすっきりとした気分になってくる。中盤のあのゴタゴタを見ていると、とんでもない家が完成するものかと思っていたが、そこはしっかりとハッピーエンドになっている。独特な台詞回しと、あちこちに散りばめられた小ネタ。笑える要素は沢山ある。

家を建てるのは大変なんだなぁと真剣に思ってしまった。