めぐりあう時間たち


 2011.1.25  時代が交錯する難解な作品 【めぐりあう時間たち】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
3つの時代が交差する物語。それぞれの時代に何の繋がりがあるのか、終盤までまったく気が付かなかった。1つの小説がそれぞれの時代に印象的なアイテムとして登場する。正直、本作のテーマが何なのかよくわからなかった。女性が見ればまた違った感想を持つのかもしれないが、それぞれの時代の主人公が感じる悲しみの根源がはっきりしなかった。それらしい原因は語られているが、物語のすべてを覆いつくしているなんともいえない陰鬱な雰囲気ばかりが気になった。決して明るい気持ちになれる作品ではない。終盤になり、やっとそれぞれの繋がりがわかったとき、なんとなく物語の言いたいことがわかったような気がした。非常に難解だが、出演者は豪華だ。

■ストーリー

1923年のロンドン郊外、『ダロウェイ夫人』をしたためる作家ヴァージニア・ウルフ。1951年のロサンゼルス、『ダロウェイ夫人』を愛読する主婦ローラ。そして、現在のニューヨーク、ダロウェイ夫人のような生き方をしているクラリッサ。別々の時代、別々の場所に生きる3人の女性の一日が交錯する。

■感想
文学的な意味合いを深読みしなければならないのだろうか。それぞれの時代に登場する女性たちが何に対してそこまで苦悩しているのか。そして、それぞれが女性とキスをするということに、どういった意味があるのか。女性たちが何かに悩み苦しんでいるのはわかる。その原因らしきものも表現されている。しかし、それらすべてまるごと共感できるわけではない。なぜそこまで悩み苦しむのかという思いの方が強い。すべての女性たちが、どこか精神に異常をきたしているようにも見えてくる。

3つの時代を細切れにしてそれぞれを並べている。最初はこの3つの時代にどういった意味があるのかわからなかった。というか、年代が大きく違うということがわかっただけだ。それぞれの時代に共通しているのは苦悩する女性と、小説が傍らに存在するということだけだ。この小説が何か大きな手がかりになるかと思いきや…。物語の全体的なテーマをはっきりと理解するには、かなり文学的な見方をしなければならないのだろうか。わかりやすい物語ではない。繋がりがわかったところで爽快感はない。

終盤になると、3つの時代の繋がりがわかりかけてきた。ただ、そのことが物語の大きなテーマとは思えなかった。それぞれの生き方は似ているわけでもなく、はっきりとした共通性はない。小説をとおして女性たちが感じ取ったのはいったいどういった心境なのだろうか。複雑に絡み合う物語なのだろうが、細かな伏線に気付かず、そのままただよくわからない映画としか思えなかった。見る人が見れば、細かな演出に気付いき、それぞれの繋がりの絶妙さを楽しめるのだろう。

かなりハードルの高い作品のように感じられた。



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