まほろ駅前多田便利軒


 2013.6.17      便利屋に憧れてしまう 【まほろ駅前多田便利軒】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
便利屋を営む多田と、そこに突然転がり込んできた行天。ふたりはいつの間にかコンビとなり、大して忙しくもない便利屋を続ける。この便利屋というのがなんとも心に響く。ヘビースモーカーでダラダラしながら日々を自由にすごす。多田は真面目に働くが、行天がまったく真面目に働かない。風変りなふたりだが、異様に魅力的だ。

謎の多い行天が、何かしら事件を起こすかと思いきや、そうではない。ふたりに強烈な何かしらの個性があれば、それが売りになるのだろうが、それもない。ただ若者が便利屋をやっているだけ。ちょっと心がホンワカとし、微妙なところで笑いが起こる奇妙な作品だ。ただ、この雰囲気は嫌いではない。うっすらとだが、便利屋にあこがれてしまった

■ストーリー

ペットの世話、塾の送迎代行、納屋の整理、そんな仕事のはずだった-。東京郊外のまほろ市で、けっこう真面目に便利屋を営む、しっかり者の多田啓介。そんな多田のもとに、風変わりな同級生、行天春彦が転がり込んできた。1晩だけのはずが、行天は一向に出て行かず、多田はしぶしぶ便利屋の助手をさせることに。こうして、水と油のような2人の奇妙な共同生活が始まった。

■感想
便利屋とは何なのか。昔のイメージだと、探偵みたいなことをする便利屋というのが定番だ。本作ではそんなことはない。喧嘩がめっぽう強いとか、特殊な力があるだとか、今は便利屋なんかをやっているが、実は昔はすごかったなんてこともない。

ごく普通の若者ふたりが便利屋を営む。そして、舞い込む依頼に、多田は真剣に働くが行天が適当にサボる。ふたりの掛け合いの面白さと、自由な雰囲気がとても良い。あくせく働くことを強いられたサラリーマンの自分にとっては、ものすごく魅力的な仕事に思えて仕方がない。

原作は未読だが、原作はさぞ面白いのだろうという雰囲気が伝わってくる。なんだかこのふわふわとした感覚というか、どこかアウトロー的な雰囲気が好きだ。普通に考えれば、誰も便利屋なんか好きこのんでやりたくはないだろう。やる仕事がないからしょうがなく、というのが実情だろう。

本作を見ると便利屋とはなんてすばらしい職業なのだろうと思えてくる。自分は決して多田や行天にはなれないのだろうが、もし、チャンスがあり、もう一度人生をやり直せるのなら、こんなアウトローな生活をやってみたいと思ってしまった。

事件はお決まりどおり、裏のきな臭い物語となる。映画的な面白さは当然として、キャラクターがやはり良い。男二人の共同生活というのも、実際やるとなると、とんでもなく煩わしいのかもしれないが、なんだか憧れてしまう。これで、探偵っぽさがさらに強化されていたら、いっぺんにはまり込んでしまうだろう。

おそらく近いうちに原作を読むと思うが、映画に負けない面白さを期待してしまう。かなりハードルは高くはなるが、それを軽く超えてしまうだろう。自分の好きなタイプの作品というのは、映画であっても小説であっても楽しめるということがよくわかった。

連続ドラマ化もされているらしいが、それは見ていない。チャンスがあればぜひ見たい。



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