マーシャルの奇跡


 2012.1.12  体の奥底が熱くなる 【マーシャルの奇跡】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
大学のフットボールチームがその町にどれほど影響力を及ぼすのか、本作を見てわかった。イメージ的には甲子園に出場する高校野球といった感じだろうか。そんな我が町の希望が、突然の飛行機事故で不幸に見舞われる。選手やコーチを失ったチームがどのようにして再生していくのか。新しいコーチの元、選手を集めながらチームを再生していく物語だ。わりとありきたりなのかもしれないが、本作が実話を元にした物語ということと、出てくる選手やコーチたちの熱さにやられてしまう。いかにもアメリカらしい大学名を連呼するシーンや、ピンチに陥ったときの逆転の仕方など、型にはまった展開だが、面白い。先は読めるが、この手のダメチーム再生物語は見ると元気がでてくる。

■ストーリー

ウエストバージニア州ハンティントンにあるマーシャル大学。アメリカンフットボールで有名なこの大学のフットボールチームに悲劇が襲う。遠征先のノースカロライナからハンティントンへの帰途、飛行機事故に遭い選手、コーチら75名の尊い命を失う。失意に陥ったチームのもとに一人の若きコーチがやってきて…。

■感想
アメフトがとんでもなく激しいスポーツで、選ばれた選手しか参加できないというのはよくわかっている。本作のように寄せ集めチームが試合で勝つなんてことが起きれば、その状態に陥った原因の特殊さもあり、映画として成立するのだろう。ギリギリ事故を逃れた選手やコーチ。ほんの少しの違いが、運命をわける。そんな偶然を見せ付けられると、観衆は生き残った者たちには何か使命があるのではないかと思ってしまう。新コーチのなんだかよくわからない前向きな姿勢というのは、ものすごく好感がもてる。

アメフトチームを失うというのは、町全体を不幸のどん底に突き落とすようなことなのだろう。確かに甲子園出場を期待された地元の高校野球チームが突然消滅したとしたら、それは町にとって大きなショックだろう。そう考えれば、本作のコーチや学長や選手たちの熱さというのは、十分伝わってくる。選手たちだけでなく、大学の学生たちが集まり、大学名を連呼するシーンはいかにもアメリカらしいが、人を奮い立たせる力がある。そんなシーンを見せつけられると、不可能なことも可能にできるパワーが自然と湧いてくる。

寄せ集めの急造チームが、ただある試合に勝つだけをここまで熱くドラマチックに描くことができるだろうか。事故で死んだチームメイトや、今まで苦労した仲間たちや、必死にメンバーをスカウトしたコーチなど、すべてがあってこそ感動がある。たった一試合の勝利なのかもしれないが、そこには人を熱くさせるものが凝縮されている。その後、結果としてズタボロに負けたとしても、なんだかリアルで良い。そこから破竹の連勝なんてすれば逆に嘘臭く感じてしまう。ラストの展開を見て、すべてが実話なのだなぁとあらためて思わされた。

実話とわかっているからこそ、熱くなれるのだろう。



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