2012.10.31 国語の授業より勉強になる 【ことばの博物館】
評価:3
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■ヒトコト感想
日ごろ使っている言葉の語源を作者がわかりやすく、ユーモアを交えて説明する。意味をよくわからずに使っていた言葉や、一般的に誤訳が広まってはいるが、真の意味は別にある言葉など、思いもよらない驚きがある。ことわざや慣用句など、当たり前に使っているが、「ちょっとまて」と言う感じで、意味について作者がウンチクを語る。「五十歩百歩」を、そうは言っても、百歩逃げるよりも五十歩で踏みとどまる方が勇気があると語る。いちゃもんのように聞こえるが、軽妙な語り口と、くだらない例を出されると納得してしまうから不思議だ。本作を読むことで、博識になった気分になるが、特異顔で人に説明すると大恥じをかくかもしれない。軽い気持ちで読むべき作品だ。
■ストーリー
ふだん、何の気なしに使っている言葉にも、思いもかけない語源がある。もっとも、中には眉唾もののこじつけもあるから、要注意ではあるのだが。ショートショートの名手が古今東西のうんちくを傾けながら、語源の真説虚説のあれこれを、ユーモアたっぷりに語る好読み物。
■感想
誰もが知っている言葉から、聞いたことのない言葉まで。ある程度知識がないと楽しめない作品かもしれない。ふだん、何気なく使っている言葉の意味なんて深く考えたことはない。言葉の響きと、なんとなくのシチュエーションで使っているのだろう。曖昧な言葉の意味や語源をはっきりと知ることができるのは良い。国語の授業を受けるよりも、何倍も勉強になるのは間違いない。ただ、サービス精神旺盛な作者だけに、物語を面白くするため、あえて突飛な説を披露したりと、本作を全面的に信用するのは危険な香りがした。
言葉の語源というのは、古い言い伝えや、出来事を元に作られたらしい。ただ、当時の状況と今の状況の違いや、世相の違いなどで、意味が当てはまらないこともある。面白いのは、有名な話だが国によって意味が変わってくる部分だ。人がその国についてのイメージを面白おかしく揶揄する。アメリカの家に住み、中国人のコックに料理を作らせ、日本人の奥さんをもらい、フランス人の愛人をもつ。いろんなパターンがあるのだろうが、どれも言いえて妙な気がした。現代版はこれらのオチとして韓国人が付け加えられているようだ…。
言葉の語源を知るというのは、博識になった気分になる。そして、一般的に使われているが、誤った使われ方が浸透している言葉もある。だからといって、本作の知識をひけらかし「その言葉は違うよ」なんて指摘するのは無粋なことだ。言葉というのは日々変化するのは当然だろう。本作が描かれたのは30年も前なだけに、今とまたずいぶん言葉の使い方も変わっているだろう。古い言葉を大切にするという意味で、語源を知るのは良い。ただ、どんどん新しい言葉が生まれてくる昨今、古い言葉に縛られる必要はないかなぁと思えてくる作品だ。
ちょっとしたことわざ博士になった気分だ。
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