きらきらひかる  


 2011.11.6  ホモとアル中の夫婦生活 【きらきらひかる】

                      評価:3
■ヒトコト感想
アル中の女とホモの男の結婚生活。ちょっと変わった恋愛小説なのだろう。プラトニックな関係を続ける純粋な中学生カップルのような関係を想像していたが、予想よりもドロドロとしていた。それは笑子の精神状態が不安定なことと、睦月には紺という恋人がいるということが関係しているのだろう。爽やかで友達のような夫婦生活かと思えば、ささいなことをきっかけとして、お互いを見えない針で突くようにキズつけあう。正直、二人の世界というのは理解しがたい。お互いの両親が危惧するのは当然のことで、さらには紺という恋人の存在が、事態を複雑にしている。愛の定義や結婚生活とはなんなのか、なんてことをふと考えてしまう。特殊な関係というのは、それだけで物語となる。

■ストーリー

私たちは十日前に結婚した。しかし、私たちの結婚について説明するのは、おそろしくやっかいである―。笑子はアル中、睦月はホモで恋人あり。そんな二人は全てを許し合って結婚した、筈だったのだが…。セックスレスの奇妙な夫婦関係から浮かび上る誠実、友情、そして恋愛とは。傷つき傷つけられながらも、愛することを止められない全ての人々に贈る、純度100%の恋愛小説。

■感想
笑子が精神的に不安定ということが、やけに重大な病気のように語られているのが一番気になったかもしれない。時代的なものもあるのだろうが、今ならば笑子はそこまで肩身の狭い思いをしないだろう。アル中女とホモ男の結婚で、お互いに問題がありバランスがとれているという流れとなってはいるが、今ならばまた違うだろう。そこまでホモに対しての嫌悪感というのはなく、また、精神的な問題についても世間は受け入れやすくなっている。十年以上前であれば、バランスがとれていた関係なのだろう。

笑子と睦月の日常生活にも、感じることはある。几帳面で綺麗好きな睦月と常に酒を手放せない笑子。決定的な欠陥ではないが、お互いがどこかギクシャクするきっかけとなっている。お互いが後ろめたい部分をもちながら、結婚生活を平穏に送れるのは、バランスの問題だろうか。睦月には紺という恋人がいるが、笑子にはいない。愛による結婚ということが強調されているように感じたが、そこには愛だけでなく心地良さというのも重要な要素なのだろう。自分ならば、という前提が成り立たない物語なだけに、苦しさが募る場面では、なかなか共感できなかった。

突然ヒステリックな行動にでる笑子。睦月に怒り狂う紺。この感覚がどの程度理解できるかで、本作の感想も変わってくるだろう。すべての男に言えるわけではないが、笑子の行動には多少疑問がのこる。睦月には紺という恋人がいるというのは、折込済みで結婚したのではないのか。睦月にとっての紺には、笑子は決してなれないことはわかっていたのではないのか。頭ではわかっていても、心はそれほど素直ではないということか。紺の笑子を思っての怒りというのも、なんだか複雑すぎて混乱してしまう。

複雑な関係のはずが、笑子と紺が友達ということで、ドロドロ感が紛れている。




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