キンキーブーツ


 2011.11.30  起死回生のオカマブーツ 【キンキーブーツ】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
優柔不断な男が突然靴工場の4代目となる。お決まりどおり、工場は閉鎖の危機となり、従業員を解雇せざるお得ない。そんな中、偶然の出会いから一発逆転の工場再生方法を思いつく…。この手の危機脱出モノは、その境遇の不幸さと、周りの熱い思いというのが面白さのポイントだろう。優柔不断で婚約者の言いなりとなるチャーリー。いかにも頼りなさげな男が、工場の危機を救うために変わっていく。最初は反目し合う者たちが、工場の危機を救うために協力する。お決まりどおりの展開だが、そこにスパイスとしての”オカマ”があり、オカマ向けの靴を作るという部分に面白さがある。そこまでうまくいかないだろうという、冷静な目で見てはいけない。破天荒だが、このはちゃめちゃっぷりが面白い。

■ストーリー

チャーリー・プライスは伝統ある靴工場の跡取り。しかし、婚約者のニックの尻に敷かれている優柔不断な彼は、彼女とロンドン転勤を機に田舎町ノーサンプトンと重い責任から逃げ出す。ところが、ロンドンに到着するやいなや父親の訃報が届き、プライス社の4代目に就任することになってしまった。しかもこの工場、蓋を開けてみれば倒産寸前!職人たちの尊敬を集めていた父親は、家族同然の彼らを解雇することもできず、取引先も無いのに靴を作り続け、行き場のない靴は倉庫に山積み状態だったのだ。このままでは、本当に倒産確実。八方塞がりのチャーリーがやけ酒くらって夜道を歩いていると、数人の男にからまれている美女が!助けようとしたが、一発で叩きのめされ、反対に彼女に助けられる事に。彼を助けた路上の美女は、実はドラッグクイーンで"♂"のローラだった。

■感想
優柔不断なチャーリーが経営者の苦悩を味わうことにより、少しづつ変わっていく。閉鎖の危機にある靴工場の再生のため、チャーリーは何をやるべきか。普通ならば、従業員を解雇し固定費を削減して、営業に奔走するということだろう。最初はその当たり前のことをやろうとするチャーリーだが、ある男(女?)との出会いによって考え方を変えてしまう。従業員たちとのいざこざや、新しい方針の周りの反対など、今までのチャーリーであれば、とても決断できない事態になる。そこで成長したチャーリーは勇気ある決断をする。この変化がワクワクしてくる。

靴工場を再生させるための秘策がなんともぶっ飛んでいる。この作品は、実話も含まれているらしいが、ブーツのたぐいは脚色のようだ。さすがに、ぶっとんでいるとは思うが、半分実話というのがすごい。つぶれかけた靴工場を復活させるために、新たなことにチャレンジしたのは確かなのだろう。本作では、そのプロセスを脚色し、エンターティメントとしての面白さを追求している。オカマがその見た目に対して、妙に心が繊細だというのも、なんだか面白くなってくる。

従業員たちがある1つの目標に向かって協力する。チャーリーの熱い思いを知って、自然発生的に集まる従業員たち。このあたりは定番というべきかもしれないが、心の奥底が熱くなる。必ずしも成功に繋がるとは限らないことであっても、それをひっぱる者の真剣さやビジョンが周りに浸透すれば、自然と人は動くのだろう。古今東西、どんな経営者でも理想とすることを、あっさりとやってのけているチャーリーの変化というのも見所かもしれない。

半分コメディチックだが、見るべき部分は多々ある。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp