君とボクの虹色の世界


 2011.4.26  ほんわかとした芸術作品? 【君とボクの虹色の世界】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
芸術作品というのだろうか。ハリウッド的大迫力や、引き付けられるミステリではない。爆発もなければ、銃撃戦も殺人事件も起きない。あるのは、静かな雰囲気の中で、ちょっとした出会いと、それが恋に発展する過程や、周りの日常を描いている。おそらく好き嫌いが大きくわかれる作品だろう。この静かな雰囲気が好きだという人もいれば、何の面白味もないと感じる人もいるだろう。クリスティーンの恋がメインなのだが、ハリウッド的、劇的な恋愛ではない。ただ、そこには細かな仕草や相手を思う気持ちが画面からにじみ出ている。特に、評価されるあてのない芸術作品をクリスティーンが作り続け、最後の最後に結果がでたというのは、本作のことを表しているのだろうか。

■ストーリー

高齢者タクシーの運転手をしながら、アーティストを夢見るクリスティーヌ。彼女はショッピングモールで、離婚したばかりのリチャードと出会い、恋に落ちてしまう。しかし、彼はまだ新しい恋へと踏み出す勇気を持てずにいた。それぞれの想いが交差した時、彼らが見つけたものは…。

■感想
いくつかのエピソードが重なって実現されている作品だ。クリスティーンの淡い恋模様がメインなのだが、その脇にひかえる者たちのエピソードも捨てがたい。チャットで見ず知らずの女性と知り合いになる子供の話など、メインのエピソードとまったく関わりがないのだが、良いアクセントになっている。ちょっとした群像劇風だが、お互いのエピソードに密接な繋がりはない。クリスティーンの片思いばかりを永遠と続けるとなると、飽きがくるので、このような方式にしたのだろうか。

積極的なクリスティーン。片思いの男性に対して果敢にアタックしたかと思うと、つれなくされる。相手の男の気持ちもわかり、クリスティーンもなんだかかわいそうに思えてくる。評価されない芸術作品を持ち込んだりと、まるで監督自身の境遇を表現しているようにも感じた。ビデオ映像でよくわからない芸術作品を作り続けるクリスティーン。最後まで映像を見られないことを前提として、持ち込みをするあたりがなんだか笑えてきた。あいまにちょっとした笑いが組み込まれているが、妙にシュールだったりもする。

テンポよく進み、飽きがこないよう工夫されている。作品から何かメッセージ性のようなものがあふれているように感じるが、そのメッセージを受け取ることができなかった。この手の芸術作品は、万人にうけるものではない。ある程度覚悟して見た人が楽しめるのだろう。90分と短めなのが本作の雰囲気に合っているのか、それほど退屈には感じなかった。あっという間に終わったという印象のほうが強い。ハリウッド大作に飽きた人は見てみるといいだろう。

芸術を感じたい人にお勧めだ。



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