2012.12.13 これが理系男子だ 【キケン】
評価:3
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■ヒトコト感想
理系大学生ならば、何かと共感できる部分が多い物語。逆に文系女子が本作を読むと、理系男子はここまで危ないのかと誤解されてしまうだろう。ある程度誇張があるにしても、大枠では間違っていない。コアでマニアックなサークルというのは、外から見るとかなり危険に見えているはずだ。本作は、機械制御研究部を「キケン」と短縮し、その名のとおり、結果的に危険な活動をすることになる。挿絵がマンガチックなので、それに引きずられる形で、物語もユーモアにあふれている。お嬢様女子大生との接触や、学際でのはじけっぷりなど、学生時代を思い出し羨ましくなったりした。理系男子ならば、必ず共感できるだろう。当然ながら、かなり充実した大学生活であることは間違いない。
■ストーリー
成南電気工科大学機械制御研究部略称「機研」。彼らの巻き起こす、およそ人間の所行とは思えない数々の事件から、周りからは畏怖と慄きをもって、キケン=危険、と呼び恐れられていた。これは、その伝説的黄金時代を描いた物語である。
■感想
文系女子からすれば理系男子はオタクのイメージが強いのだろうか?実際にはそんなことはなく、健全な男子も多ければ、チャライ男子も沢山いる。それが、本作のようにステレオタイプな理系男子を物語として、女性に人気の作家が描くと、なおさら強烈なイメージを植えつけてしまうだろう。「キケン」というマニアックなサークルでくり広げられるはちゃめちゃな出来事。理系男子からしたら、もっとコアでディープな出来事もあり、健全すぎると思う描写もある。トータルすると、良いラインなのだが、理系男子はキケンというイメージを文系女子たちに刷り込む結果になるだろう。
お嬢様女子大生との出会いなど、まさに架空の世界だ。理系男子からすると、妄想の世界の出来事が、そのまま物語として実現されている。現実には、こんなことは絶対にないのだろうが…。理系男子イコール女子に縁がないというのは確かだ。そこに電撃的な展開があり、お嬢様女子大生と付き合うなんてことは夢物語でしかない。全般的に、理系男子らしい男臭さを無理矢理表現しようとしているが、やはり作者が女性ということで、どこかソフトでフェミニスト的な印象がある。
ロボットを作ったり、自前で銃もどきを作るなど、マニアックな活動をするキケンの面々。自分が理系男子だっただけに、懐かしさを感じずにはいられない。同じような経験をしてきたわけではないが、学生時代の思い出がフラッシュバックしてしまう。できるならば、もう一度あのころに戻り、はじけてみたいと思わせるようなパワーがある。それは自分が理系男子だからだろう。文系女子が本作を読み、どのような感想をもつのか知りたい。同じように、なんだかよくわからないけど楽しそうだと思うのだろうか?
理系男子であれば確実に楽しめることだろう。文系女子は…。微妙かもしれない。
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