確率2/2の死  


 2012.6.20   繋がりの見えてこない物語が… 【確率2/2の死】

                      評価:3
■ヒトコト感想
冒頭、不可解な誘拐事件からスタートし、身代金を受けとらない理由がわからないまま物語は進んでいく。また、別パートでは、主婦が町内をグルグル回る奇妙な白いバンを見かけることになる。得体の知れない奇妙な感覚が常につきまとう本作。目的がわからないまま、物語が進んでいくと、不安感はどんどん大きくなる。物語が進んだとしても、疑問は解消されることなく、そればかりか、より強い疑問をいだくことになる。オチはさておき、この読者を不可思議な気持ちにさせる構成はすばらしい。ある程度ミステリー慣れをしてくると、どうしても先を予想してしまうが、それでも興味を失うことはなかった。オチは現実的だが、オチにいたるまでのプロセスがすばらしい。

■ストーリー

プロ野球のスター・プレーヤーの子供が誘拐された。身代金一千万円。警視庁捜査一課の吉敷竹史刑事は、姿を見せぬ誘拐犯の指示で赤電話から赤電話へ、転々と走り回る。が、六度目の電話を最後に、犯人は突然、身代金の受け取りを放棄し、子供を解放した。果たして犯人の目的は何か。

■感想
プロ野球のスタープレイヤーの子供を誘拐しておきながら、身代金を受けとらなかった犯人。そして、主婦が目撃した、町内をグルグルと回り続ける白いバン。二つの出来事が、おそらく関係あるのだろうと予想できるが、その繋がりがまったく見えてこない。誘拐事件を調査しつづける刑事と、夫の様子がおかしく、奇妙な白いバンの存在も気になる主婦。二人が出会うことになるのは、もっと先のことだが、そこにいたるまでの独立した出来事の奇妙さというのは、読んでいて鳥肌が立つほどだ。

古い作品のため、時代的な仕掛けがある。赤電話で犯人から指示がきたり、携帯電話のかわりに自動車電話だったりと、今ならば通用しないトリックかもしれない。そして、ホテルのコンピュータの通話記録であっても、今ならばどこにかけたかはっきりわかるはずだが、本作では通話相手がわからないということになっている。それらが物語では重要な鍵となっているので、現在では物語自体が成立しないだろう。本作はトリックの面白さというよりも、結末にいたるまでのプロセスがすばらしく人を引きつける。

事件の結末はこの際どうでも良いのかもしれない。後半になると、なんとなくオチがよめてくる。そうなると、今までの奇妙な引きの強さは弱まってしまう。オチがわかれば、今の時代では通用しないことだと気づき、あとは惰性で結末まで読み続けるといった感じだ。それまでの、複数の出来事が平行して進んでいきながら、どこで繋がるのかわからない展開というのは、興味をそそられてしまう。ミステリを読み慣れている人であればあるほど、面白さを感じることだろう。

タイトルが、メインのトリックとほとんど関係ないのは驚きだ。




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