ジョークなしでは生きられない  


 2012.5.17   短編のみなもと 【ジョークなしでは生きられない】

                      評価:3
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■ヒトコト感想

古今東西のジョーク集。当然、作者が知っているジョークなので、作者の小説やエッセイに登場するジョークもある。短編、エッセイ、本作と都合3回読んだようなジョークもある。本作に収録されているジョークは膨大な数なので、かぶるのはしょうがないのだろう。時代を感じさせるジョークや、海外独特のジョークなど、特にエロ関連のジョークに、作者はこだわりがあるようだ。セックスや、男は常に浮気をしたいという気持ちを表したジョークなど、本作を読むと作者の作品の原点はジョークにあるのだなぁとういのがよくわかる。ジョークを広げ、作者の味付けをしたのが、すばらしい短編となっているのだろう。

■ストーリー

多数のジョークがおさめられた、古今東西のジョーク集。ちょっとエッチなジョークからブラックなジョークまで様々。ジョーク好きはお試しあれ。

■感想
数々のジョークの中で、最も印象に残っているのはワシントンの桜の木の話だ。誰もが知っている有名な話をジョークにするのが面白すぎる。桜の木を折ったと正直に話したワシントンを、父親はなぜすんなりと許したのか?答えは、ワシントンがまだ斧を持っていたからだそうだ。有名な話を台無しにするジョークだが面白い。その場の情景を思わず頭に思い浮かべ、右手に斧を持つワシントンを、おびえながら見る父親というのは、面白すぎる。これぞブラックジョークの極みだ。

江戸時代のジョークからフランスのジョークまで、古今東西のジョークが入り混じる。特にフランスのジョークでは、日本では馴染みのない言葉のジョークから面白さを表現している。作者が大学時代にフランス語を先行していたので、フランスのジョークが多いのかもしれないが、言葉の響きがエロいジョークに繋がるのが面白い。ある一定の決まりきったパターンなのかもしれないが、読む方もそれなりに知識と言うか、事前知識が必要になる。前提条件が一致してこそ、笑えるのがジョークだからだ。

基本的に、男は浮気をし、女も浮気をする。お互いの相手を騙すということが、ジョークとしての面白さとなる。間抜けさを笑う場合もあれば、気の毒な状況を笑うパターンもある。無知ゆえに知らないこととはいえ、とんでもないことをしでかした者を笑うというのもある。エロ関連のジョークが多いのは、完全に作者の好みだとは思うが…。過去のエッセイや短編などからは、本作のジョークからアイデアを広げたのだろうとはっきりわかる作品もある。インパクトはないが、ニヤリと笑える感じが良い。

現代版のジョーク集も読んでみたい。




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