ジェシー・ジェームズの暗殺


 2011.11.9  ブラピは、はまり役だ 【ジェシー・ジェームズの暗殺】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
アメリカ史上最も有名なアウトローであるジェシー・ジェームズ。民衆のヒーローであるジェシーを暗殺したのが、ボブことロバート・フォードだ。物語は、ジェシーの活躍と、仲間に対しての容赦ない冷酷さを表現し、周りがジェシーに戦々恐々とする部分からスタートする。民衆からはスター扱いされているが、仲間内からは独裁者的な恐怖を植え付けている。ただ、ジェシーの不安定な心境と、ロバートのビクビクしながらジェシーと対峙するシーンというのは見ていてしびれてしまう。物語はジェシーの暗殺後も続く。ロバートが民衆のヒーローを暗殺したことにより、周りに虐げられる場面もあり、見終わると妙な寂しさがある。ジェシーには殺されるだけの理由があり、ロバートには虐げられる理由があるのだ。

■ストーリー

ジェシー・ジェームズ。1880年代のアメリカでその名を轟かせた、合衆国史上最も有名なアウトロー。10もの州で法の番人たちにその首を狙われながら、ロビン・フッドのように民衆から愛された男。ロバート・フォード。当時、誰にもその名を知られていなかった19歳の臆病な野心家。ジェシーを心から崇拝する彼は、ジェシーの仲間となり、やがて友人となっていく。そして、アメリカで最も卑劣な男として記憶される、あの事件へと向かっていくのだった…。

■感想
ブラピ演じるジェシーはすばらしい存在感を放っている。あるときは強烈なカリスマ性を周囲にふりまき、あるときは凍りつくような恐怖を仲間に植え付ける。常に誰かに追われる恐怖を感じながらの生活に疲れ、げっそりとやつれていくシーンでは、狂気のような表情に見えてくる。これほど役にぴったりな人物も珍しい。圧倒的な存在感で、周りを黙らしたかと思えば、少年のような笑顔で周りを和やかにする。アウトローというだけでなく、家庭を大事にするというのもジェシーに良いイメージをもつ要因の一つだ。

ジェシーとロバートの関係というのが、なんだかぎこちなく思えてしまう。ロバートは尊敬するジェシーに異常なまでの執着心をみせる。ジェシーはそれを知ってか知らずか、どこか気をつかうような、または、付き合いづらいというような印象を受けた。本心はどうなのかわからないが、ジェシーの表情がそう語っているような気がした。大きな仕事の前には、ジェシーとその家族と共に暮らすロバート。まるで家族のような生活をしながら、きっかけを探すロバートの心境というのは、狂いだしそうなほどの緊張感なのだろう。

新聞記事がきっかけとして、ロバートの裏切りにうっすらと気づくジェシー。この瞬間、ロバートとジェシーの表情というのは、なんとも言えない極度の緊張感が一瞬にして部屋中に蔓延した。瞬間的なロバートの泣き出しそうな表情と、なんと言っていいのかわからないジェシー。ギクシャクした中で、ジェシーが部屋にかかった絵のホコリを払うというのは、何か大きな意味があったのだろう。物語中の描写だけから推測すると、まるでロバートに暗殺されることに気づいていたかのような描写だ。

ブラピのジェシーは、はまり役だ。



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