インヴィシブル 栄光へのタッチダウン


 2011.6.1  実話ということが、なにより衝撃だ 【インヴィシブル 栄光へのタッチダウン】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
実話を元にした作品。そのため、劇的な出来事よりも、実話ということでジワジワと感動が押しよせてくる。不況の真っ只中、無職の男が、NFLのテストを受けアメフトのプロ選手となる。信じられないようなシンデレラストーリーだが、現実にあったことなのだろう。素人がプロになるにあたっての困難がそれほど描かれているわけではなく、プロになる男と、残された男の知り合いたちの関係をメインに描いている。そのため、当時の不況をことさら強調し、成功者しつつある者と、失業者の対立がありそうでない。そればかりか、困窮する仲間が応援するということで、感動を引き起こしている。実話というくくりがなければ、なんてことない作品だが、実話という冠はかなり強い

■ストーリー

1976年 ― アメリカ、フェラデルフィア。不況が続く中、街の人々の希望はNFLの地元チーム、イーグルスの勝利だったが、応援するもむなしく、勝利の女神に見放されたままシーズンが終了した。ファンからの不満の声が響く中、次のシーズンでは何としても勝ち星を掴まなければならないイーグルスに、新たに配属された監督のディック・ヴァーミールは、プロのチームとしては異例の「一般からの公開オーディション」を開催することをテレビで報じる。

■感想
学生時代にもほとんど経験のない男が、突然NFLのプロになどなれるのだろうか。まさにシンデレラストーリーの極みといえるのだが、本作はそこに重点をおいていない。のぼりつめる姿は最後のエピローグに軽く描かれ、そこまでの苦悩をメインとしている。結局最初のトライを決めるまでが、本作のすべてだ。プロになることの厳しさはほどほどに、男がどのようにしてくじけそうになる気持ちを盛り上げていくのか。失業した仲間たちであったり、バーで働く女だったり、あらゆる人の応援によって男がプロになれたという図式だ。

成長していく男と、それを見守る仲間たちのほかに、本作では不振を極めたチームを救う監督の立場も描かれている。期待された監督が、一般人を公開オーディションで選び、試合に使う。とんでもない勇気と決断だが、それだけ切羽つまっていたのだろう。監督周辺の厳しい声や、オーナーからのプレッシャーなど、実は選手としてのプロの厳しさと同じくらい、監督の厳しさも描いている。どちらかといえば、選手の辛さは誰もが知るところだが、監督のプレッシャーをこれほどうまく描いているのは、なかなかないかもしれない。

エンディングでは実際の映像を交え、奇跡のようなシンデレラストーリーを説明している。ある程度やるとは思っていたが、まさかスーパーボウルにでるほどの実力があるとは思わなかった。結果的に、この実際の映像があることで、感動も押しよせてくる。遊びでアメフトを楽しんでいた無職の男がスーパーヒーローになる。確かにあこがれの展開だが、まさか現実にあるとは思えなかった。最初のタッチダウンで本作のすべてが終わっているのだが、それから続く栄光には、それほど大きな波風が立たなかったからだろうか。

なんにせよ、これが実話ということが、一番のポイントだ。



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