2012.1.16 30目前の女二人 【ホリー・ガーデン】
評価:3
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■ヒトコト感想
30目前の女二人が主人公。ガチガチの男目線で読むと、女同士の親友というのは、なんてめんどくさいものだろうと思ってしまう。微妙な年齢となり、男に対する考え方も様々、お互いあまり深く干渉はしないが、常に気にしている状態。お互いの性格を知りつくしているだけに、よけいな軋轢を生まないよう、考えながら発言する。外部からは自由気ままなシングルライフと見えていたとしても、内には解消されない様々な問題がある。女同士の親友の、外側の綺麗な部分だけでなく、内に秘めた思いまで文字にした作品。男が読むと、めんどくさい関係だと思うが、同世代の女性が読めば共感できるのだろうか。女性の率直な意見を聴いてみたい。
■ストーリー
果歩と静枝は高校までずっと同じ女子校だった。ふと気づくといつも一緒だった。お互いを知りすぎてもいた。30歳目前のいまでも、二人の友情に変わりはない。傷が癒えない果歩の失恋に静枝は心を痛め、静枝の不倫に果歩はどこか釈然としない。まるで自分のことのように。果歩を無邪気に慕う中野くんも輪に加わり、二人の関係にも緩やかな変化が兆しはじめる…。
■感想
不倫をする静枝と、自由奔放な生活を続ける果歩。料理はいっさいせず、水泳で体を鍛える静枝に、料理と日々のサイクルを大切にする果歩。幼馴染である二人が30手前となり、お互いの関係に微妙な変化の兆しがみえてくる。女性どうしで親友というのは、お互いの生活スタイルの一致が必須なのだろう。片方が結婚して子持ちとなると、親友としてのスタンスも違ってくる。本作の二人のように、自由なシングルライフを楽しむ二人ならば、親友として生活を共有するということが成り立つのだろう。
30手前の女ということが、ポイントになるような記述がいくつかある。独身で彼氏もいない世の女性は、休日にいったい何をしているのか、だとか。少なからず独身で彼氏がいないことを、良くは思っていない記述がみられる。それでいて、特定の彼氏を作らない果歩に対しての静枝の態度というのは、自分のことは棚に上げて、辛らつだと思う。女性二人が微妙な年齢で、お互い結婚の予定もない。となれば、開き直って自虐的な会話でもでるかと思いきや、そうではない。本作の二人はあくまでも女性としてのプライドを高く保っている。
男からすれば、なんてめんどくさい関係なのだと思ってしまう。お互いを必要としておきながら、ふとした瞬間、相手を邪魔に感じたり、相手の雰囲気から地雷になりそうな言葉を察知したり。長い付き合いの親友であれば、なんでもさらけ出せる素直な関係というのをイメージするのは男だけだろうか。女にもそんな関係は存在するはずだが、本作の二人は体の片隅に、ほんのわずかではあるが緊張感というのを常に持ちながら、付き合っている関係のように思えた。客観的に考えると疲れる関係のようにも思えてくる。
30手前の女性であれば、共感できるのだろうか…。
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