グッドナイト&グッドラック


 2011.5.24  タバコ片手に正義の報道 【グッドナイト&グッドラック】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
モノクロの映像と、巨大な権力へ立ち向かうニュースキャスターのかっこよさ。特に、タバコ片手に、斜にかまえる姿などしびれてしまう。モノクロの映像がさらにその雰囲気を倍増させ、人に勇気をあたえる。自由の国アメリカであっても、昔は(今も?)いろいろな規制があったのだろう。一人の議員の横暴に対抗するために、ニュースキャスターが立ちあがる。世論を味方にしたというよりも、見切り発車的に真実を伝える報道をする。誰もが思っていたことであっても、口にするのは恐ろしい。そんな感覚をぶちやぶるような、勇気ある行動と、突っ走る力強さ。いつの時代も、権力に対抗する弱い者たちには、熱い感情をもって見てしまう。

■ストーリー

1954年、アメリカ。百万人の視聴者が、ひとりのニュースキャスターに未来を託した─これは、全米を勇気で満たした感動の実話である。1950年代アメリカ。マッカーシー上院議員による"赤狩り"が数千人に及ぶ国民から職を奪い、恐怖が全米を覆っていた。報復を恐れるマスコミが批判を控える中、議員の真の姿を報じ、アメリカに自由を取り戻したのは、一人のニュースキャスターと、彼と共に闘った記者たちだった。

■感想
このモノクロの映像が雰囲気を盛り上げている。やりたい放題の議員に対してどのような報道姿勢をとるのか。ただ、本作の難しいところが、議員がやっていることは”赤狩り”として、共産主義を排除しようとする流れにはのっているということだ。その排除方法が強引であり、人権を無視したもののため、批判の対象になる。勇気あるニュースキャスターと、スタッフたちによる告発のような番組によって、議員を批判する。テレビ局の会長や、新聞社などからの批判に負けず、ひたすら正義と思う方法を貫きとおす。このパワーがすばらしい。

しかし、当時のアメリカではこれほど共産主義者が排除されていたとは思わなかった。親戚縁者、ほんの少しでも共産主義と繋がりがある者がいれば、そこから数珠繋ぎに対象者へと繋げていく。強引すぎる展開だが、いつの時代も権力というものは、そういうものなのかもしれない。人権がどうだとか、赤狩りに関しての強烈な圧力と、報道機関として正義をどのようにして貫くのか。現在のテレビ業界がこの手の気概をもっているのかわからないが、周りが敵だらけだったとしても、正義を貫くというのは、見ていてワクワクしてくる。

ニュースの最後に必ず「グッドナイト&グッドラック」と言うのが印象的だ。タバコ片手にニュースを報道するというそのしせいの良し悪しは置いといて、衝撃的な事実を報道しているという緊張感よりも、正義を貫いているという誇りのようなものが強く表れている気がした。スタッフをふくめ、巨大な権力に立ち向かっているという気持ちの高揚と、もしすべてが失敗した場合に、自分たちはどうなってしまうのかという恐怖。今のマスコミには、正義感というものよりも、他人を蹴落とそうという、あげ足取りのような気持ちが強いように思えてしかたがない。

モノクロだからこそだせる雰囲気だろう。



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