2012.11.20 マンガ原作らしい爽やかさ 【岳】 HOME
評価:3
■ヒトコト感想
三歩のキャラクターがいかにもマンガチックだ。青年マンガに登場する、山が好きで、その他のことはあまり気にしないキャラクター。そして、新人山岳救助隊の久美は、お決まりどおり男勝りの気の強い女となる。わりとステレオタイプな物語だ。山で遭難した登山者を三歩が助ける。久美が無茶なことをやっても、最終的には三歩が助ける。誰も助けに行けない猛吹雪の中で、三歩がひとり救出へ向かう。基本路線はある程度固まっているので、安心感はある。山好きであれば、雄大な景色に感動するかもしれない。誰もが想像するストーリーに面白味を感じないのか、それとも俳優たちを目当てに見るのか。楽しみ方はそれぞれあると思う。
■ストーリー
雄大な北アルプス山系。そこには、誰よりも山を愛する男・島崎三歩(小栗旬)がいた。世界中の巨峰を登り歩いてきた三歩は、山岳救助ボランティアとして登山者たちの命を守っている。彼は、山のように大きな包容力を持ち、仮に要救助者が死んでしまっていても「よく、頑張った」と労わりの言葉をかける男である。そんな三歩の暮らす山に、新人救助隊員の椎名久美(長澤まさみ)がやってくる。久美は過酷な訓練を乗り越え成長していくが、実際の救助では遭難者の命を救うことが出来ない日々が続く。そんな折、猛吹雪の冬山で多重遭難が発生。仲間と共に救助に向かう久美を待ち受けていたのは、想像を絶する雪山の脅威! その時、三歩は……!?
■感想
山岳救助隊のボランティアの三歩。まずこの三歩のキャラクターがマンガ的だ。山に生きる男。包容力があり、細かいことは気にせず山が恋人。そんなわかりやすいキャラクターを、新人救助隊員の久美や、食堂のおばちゃんや、ヘリのパイロットたちが慕う。誰からも慕われるキャラで、三歩の人間的な問題についてはいっさい描かれていない。何を生業として生活しているのかもよくわからない。ただ気が向いたら山に登るというその生活スタイルが、すべてを超越した現代の仙人のように思えてしまう。
物語は定番どおり、山で遭難した者を三歩が助ける。そこで、血も涙もないような行為を行うが、それらはすべて生きている人間を助けるため。優先順位と、それによる周りの悲しみを誰よりも理解し、あえて悪者になったりもする。すべてが完璧な三歩と、その能力とたまに発する無神経な言動に久美がイライラする。山に生きる爽やかな男と、山岳救助隊の新人。無鉄砲で負けず嫌いな新人が、隊長の命令を聞かず飛び出すのは予想通り。そして、三歩が救出に向かう。なんだか定番すぎる流れだ。
激しく吹雪く山で、三歩は救助に向かう。二次遭難を危惧して捜索終了を命じる隊長。そんな状況でありながら、三歩だけが助けに向かう。山に忘れてはならないモノは、ゴミとあとは…。人の命の大切さをアピールする物語なのかもしれないが、山がものすごく危険だということばかりが印象に残っている。一歩間違えれば、どれだけ山に精通した人であっても事故で死ぬことがある。そんな危険な状況になぜ人はチャレンジするのか。「そこに山があるから」なんていう名言で済まされるようなことではないと、シミジミ感じてしまった。
登山モノの定番的流れだけに、安心して見ることができる。
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