エリザベスタウン


 2011.10.13  チグハグしたロードムービー 【エリザベスタウン】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
仕事に失敗し、落ち込んだ若者の自分探しの旅という感じだろうか。前半は父親の葬儀関連の奇妙な戸惑いから、後半はロードムービーと化している。特徴的な演出で、ドリューの寂しげな心情を表現しているようだが、ドリューがなんとも煮え切らない情けない男に見えてしょうがない。仕事に失敗し、自殺まで考えるほどどん底に落ち込んでいるようにも見えなければ、新たなスタートを切るということで、希望に満ち溢れた表情にも見えない。ぼんやりとしたまま、流されるまま元気を取り戻すといった感じだ。後半をロードムービーとして見れば、それなりに面白いのだが、前半とのつがなりがあまり重要のようには思えなかった。オーランド・ブルームのキャラクターのせいでこうなったのだろうか…。

■ストーリー

スニーカーのデザインに失敗し、会社に10億ドルもの損害を与えたドリュー。恋人からも距離を置かれ、自殺まで決意した彼に、父親が急死したという知らせが届く。遺体を引き取りに向かった彼は、父の故郷、ケンタッキー州のエリザベスタウンで新たに人生のスタートを決意することになる。

■感想
冒頭、スニーカーのデザインに失敗し、人生のどん底へ叩き落される。特徴的な演出で、ドリューの戸惑いと、あからさまな周りの変化を描いている。ここまでは面白く、父親の葬儀の準備をするくだりまでは良いと思う。エリザベスタウンへ帰る飛行機の中での新たな出会いと、前へ進む微かな気力を手に入れる場面も良い。そこから、ホテルに泊まり、いろいろとありながら葬儀を終えるのだが、このあたりがなんだか無駄にだらだらとドリューの心境が良く伝わらないまま進んでいるような気がした。

父親はドリューにとってどんな存在だったのか。どこかドリューはおいてけぼりとなり、母親や父親の友達たちがドリューの存在感を薄れさせている。新たな出会いが進展するかという場面であっても、煮え切らない印象ばかりが残っている。そうなってくると、ドリューが今後どうなろうと、残された家族や、周りの人にはほとんど関係ないのだなぁという切り離された思いばかりが残る。後半のロードムービーは煮え切らない男に新たな活力を注入するということで、なんだかよくわからないが前向きになるという雰囲気はあるが、それだけだ。

オーランド・ブルームが主役として存在することに意味があったのだろう。後半のロードムービーは、広大なアメリカを先がみえないまま車でひたすら前へ進むという良く分からないワクワク感がある。ただ、このロードムービーをどれだけ楽しめるかということが、もしかしたら作品全体の評価に関わるのかもしれない。ぼんやりとしたドリューが旅する中で、少しづつ変わっていくのは見ていてウキウキしてくる。そこに強烈なインパクトがあるかというと、サラリと頭の中から抜け落ちるような感じかもしれない。

強烈なインパクトはないが、後半のロードムービーを気に入るかで、評価はわかれていく。



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