エリン・ブロコビッチ


 2011.4.13  なんともいえない爽快感 【エリン・ブロコビッチ】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
なんとも言えない爽快感がある。3人の子供を育てるのに必死なエリンが、事故の示談を依頼した弁護士事務所に強引に入り込む。最初は役にたたないお荷物かと思いきや、偶然ある訴訟問題を調査し、そこから怒涛の展開が待っている。本作が事実にもとづいて描かれているということが最後の爽快感を生んでいる。学がなくとも情熱でなんとかなる。見た目と努力のギャップが面白さを倍増させている。特にエリンが法律学校出の女性に対して強烈な言葉をぶつける。とんでもないことだが、すっきりする。エリンがエリートではなく、どこにでもいそうなシングルマザーなだけに、好感がもてるのだろう。特殊かもしれないがアメリカンドリームと言えなくもない。

■ストーリー

胸元も露に超ミニのスカートでキメた元ミス・ウィチタ。離婚歴2回。3人の子持ち。無学、無職。貯金残高16ドル。そんな彼女が1枚の書類から大企業の環境汚染を暴き、634の住人の署名を集め、史上最高の和解金350億円を勝ち取り、アメリカ中にスカッとした感動をもたらした。

■感想
無学、無職、貯金残高16ドルというエリンが弁護士事務所で暴れまわる。独自に調査し大企業の環境汚染を暴きだすあたり、めちゃくちゃな調査方法だが、エリンならではのアイデアと根性で、正攻法では得ることのできない貴重な情報を得ている。エリート弁護士ではなく、エリンのような不幸な境遇のシングルマザーが必死に頑張り、成果を出す姿は美しい。さらには法律学校出の女性に学歴がないからと、つまはじきにされそうになったときには、独自の調査の成果と努力の結果で相手を黙らせる。判官贔屓ではないが、エリンをどうしても応援したくなる。

エリンを応援したくなる要因として、相手が大企業であり環境汚染を姑息な手を使って隠そうとしていたことがある。何も知らない善良な市民たちが被害を受ける。特に女性が本作を見ると、乳がんや子宮の摘出など、強烈な印象を残すことだろう。金と権力で弱い市民を黙らそうとする、定番的な企業の圧力に対して、弱いながらも一致団結して挑むエリンたちをどうしても応援したくなる。学のないエリンのコンプレックスや、協力することになった弁護士との関係など、そこまで壁を作らなくてもと思うが、最後にエリンの力の重大さが強調される流れはすばらしい。

何も持たない女性が成功していく様はまさにアメリカンドリームだ。ただ、そこにいたるまでの苦悩はしっかりと描かれている。仕事に熱心になり、被害を受けた市民から慕われる優秀な調査員という一面だけでなく、そのせいで影響を受けた家族や恋人との関係もしっかり描いている。単純に仕事にだけ力を注いでいたわけではない。シングルマザーだからこそ直面する悩みと、どのようにして折り合いをつけていくのか。悪い面も描いていることが、観衆に共感を与えているのだろう。苦労の末、最後に手に入れる壮大なカタルシス。これはかなり爽快だ。

報酬額もさることながら、これが実話だということが一番の衝撃だ。



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