2013.7.4 強烈なトラウマ 【永遠の仔3】
評価:3
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■ヒトコト感想
急転直下の展開。優希の家が火事となり、そこで死者がでる。物語のキーマンは間違いなく優希の弟である聡志だ。優希の少女時代のトラウマに気づいたのか気づかないのか。独自に調査を続けた聡志がたどりついた結果が本作の流れだとすると、あまりに悲しすぎる。トラウマの物語である本作。ジラフ、モウラ、そして優希の三人が不幸な方向へ進むのは目に見えている。
本作では、物語の肝であるトラウマの原因が語られている。それは、想像以上に強烈なもので、子を持つ親としては、読むのが辛くなるほどのものだ。トラウマを抱えた子供たちが成長し、それなりの権力を得た結果どうなるのか。トラウマがはっきりしたことで、山で起こった事件の原因が理解できたが…。それにしても辛く悲しい物語だ。
■ストーリー
霧の霊峰で一人の少女・久坂優希と二人の少年が起こした聖なる事件。その秘密を抱えたまま別れた三人が、17年後再会した。そして過去を探ろうとする弟の動きと殺人事件の捜査によって優希の平穏な日々は終わりを告げた-。優希の家で放火事件が発生し、犠牲者がでた。容疑者は優希の弟なのだが…。そして、子供たちのトラウマがとうとう明らかに…。
■感想
優希のトラウマは、山で起こった事件から、なんとなくだが連想できた。ジラフとモウラは、おぼろげながらに連想はできたのだが、成長した段階では、そのトラウマをはっきりと表現した場面はない。そのため、子供時代にどのようなトラウマを植え付けられたのかが、大きなポイントとなる。
本作で優希はついにそれらトラウマの原因がはっきりし、読者に強烈なインパクトを与えることになる。物語として、三人がみごとにトラウマを克服する場面を見たい気分もあるが、おそらくはそうならないだろう。
優希の家で火事が起こる。それは、崩壊の始まりであり、刑事たちが三人に、より注目する原因ともなる。過去のトラウマがはっきりとし、三人の関係がより見えてきた今の段階で、やっと現代の事件に大きな動きが起こるのだろう。
すでに出口の見えない暗いトンネルをひたすら進むしかないような状態の三人に、救いの手は差し伸べられるのだろうか。何かがきっかけとして、三人の気持ちが変わり、幸せに満ちた未来が待つのか、それとも悲しい終わりが待っているのか。後者のようにしか思えない流れだ。
本作の登場人物たちは誰も幸せになっていない。なろうともしていない。子を持つ親の立場からすると、本作に登場する親たちには、怒りすらわいてくる。が、親たちに共通している、ある一瞬だけ子供たちを溺愛するというのが、なんだか恐ろしくもあり、子供たちの不安定感をより引き立たせる行動なのだと思った。
結末がどうであれ、これほど辛い物語を、まっとうな神経で読み進めるのは辛い。頭の中では架空の物語だとわかっていても、ついつい感情移入してしまう魅力が本作にはある。
子供たちがトラウマを抱える原因には、強烈なインパクトがある。
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