ディセンバー・ボーイズ


 2012.6.13   一人だけデカイ 【ディセンバー・ボーイズ】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
ハリーポッターで大ブレイクしたダニエル・ラドクリフが主演して話題になった本作。キャストを見ると、いかにも人気者を付け加えました的なキャストに違和感をもった。ダニエル・ラドクリフだけでかいというのは、どうなのだろうか。当初は、4人の子供たちみんなが、小さな少年という予定だったのだろう。そうであれば、スタンド・バイ・ミー的な冒険物語として、4人の友情が際立ったのかもしれない。夏の休暇の思い出として4人が様々な冒険をするのだが、一人とびぬけて大人が存在していると、画面に登場するたびにチグハグ感を覚えてしまう。孤児院で育った子供たちが、養子に選ばれるために、必死に良い印象を残そうとする姿はいじらしくもあり、言いようのない悲しさも感じてしまう。

■ストーリー

12月、真夏のオーストラリア。孤児院で育った4人の少年、マップス、ミスティー、スパーク、スピットは、夏の休暇を海辺の村で過ごすことになる。それは、12月生まれの4人に贈られた院長からのプレゼント。孤児院から離れて過ごす初めての夏休みは、なにもかもまぶしく見えた。彼らがそこで出会ったのは、養子を迎えようと考えているひと組の若い夫婦。孤児院では、自分たちより幼い子が養父母のもとに引き取られていくのを、いやというほど見てきた4人。自分たちの番はもう永遠にやって来ないのではないかという不安。そして、今度こそは選ばれたいという切実な思い。養子になれるのはひとりだけ。なんとか自分を気に入ってもらおうとする小競り合いが始まるなか、いちばん年上のマップスだけは、他の3人とは別行動をとる。地元の少女ルーシーと知り合い、不器用に高鳴る胸に戸惑いながら、マップスは初めての恋を知る。しかし、養子になることには関心がないように振る舞っていたマップスも、心の中には諦めきれない夢がくすぶっていた。

■感想
孤児院で育った4人の少年。夏の間だけ海辺の村で過ごすことになる。孤児院で、養子として引き取られていった仲間たちの姿を見て、いつか自分もと思う少年たち。そんな少年たちに夏のオーストラリアでチャンスが訪れることになるのだが…。この4人の少年の中に、ダニエル・ラドクリフが入り込んでいることが不自然だ。まったく子供といっていい3人と、ラドクリフ一人だけが青年の香りを漂わせている。そのため、一人だけ淡い恋を経験したりと、ラドクリフの特別扱いがかなり目立つ作品かもしれない。

正直、ラドクリフのエピソードよりも、その他の部分の方が印象に残っている。養子をとろうと考える若夫婦と、それを盗み聞きしてしまったミスティー。なんとか養子にしてもらおうと、健気な行動をとり続けるミスティーは、健気で可愛らしいのだが、子供がそこまで自分を良く見せようとするのは、異様な感じさえ受ける。家族の暖かさを知らない少年たちが、家族を手に入れるために、必死に頑張る姿は、本来ありえないことなのだろうが、心を揺さぶられる何かがある。

見る前は、スタンド・バイ・ミーをイメージしていたのだが、中身は違った。少年たちの友情と冒険は微かに存在するのだが、ダニエル・ラドクリフだけの恋愛模様など、ひとりの特別扱いにより、全体のバランスがくずれているような気がしてならない。少年たちの個性がありつつ、少年らしいはちゃめちゃっぷりは良いのだが、ひとり青年が交じっていることで、浮いている。ラストには、少年たちが老人となり、思い出の地へ訪れるという流れなのだが、本来なら感動のラストとなるはずが…。ひとりの存在が、かなり全体を壊している。

ダニエル・ラドクリフを強引にキャスティングしたのだろうか??



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp