コールドマウンテン


 2011.2.22  帰る男と待つ女 【コールドマウンテン】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
戦争の悲惨さと、男を送り出し帰りを待つ女の苦悩を描いた作品。冒頭から衝撃的な戦時中の場面が登場し、そこでまず度肝を抜かれる。その後、戦場から逃げ帰ろうとするインマンの場面と、いつ帰ってくるかわからないインマンを待つエイダの場面に分かれている。はなればなれの二人。戦争の無意味さに気付くインマンと、生活するために変わっていくエイダ。二人の成長物語と言いかえることができるかもしれない。どの程度の期間か明確にされていないが、お互いが変わったとしても、愛は変わらない。最後は感動の再会となるのだが、そこに到達するまでに、あまりにいろいろなことが起こりすぎて、クライマックスでは疲れきってしまう。良作だけに、テンションを緩める場所がまったくない。

■ストーリー

時代は、南北戦争末期の1864年。南軍兵士としてヴァージニア州の戦場に送られたインマン(ジュード・ロウ)は、ゲリラ戦に出撃を命じられた結果、瀕死の重傷を負って病院に収容される。回復を待つ間、彼の脳裏に浮かぶのは、3年前に離れた故郷コールドマウンテンと出征前にただ一度だけ口づけを交わした恋人エイダ(ニコール・キッドマン)の面影だった。

■感想
無口なインマンとお嬢様育ちのエイダ。若干、ニコールキッドマンの年齢が気になる。もう少し若くういういしい女優が演じた方がよかったのではないだろうか。ただ、それが気になるのは最初だけで、中盤からは物語にのめりこんでしまう。特に、インマンが戦場から逃げ帰る場面では、脱走兵を連れ戻す味方兵士と敵兵士両方から追われることになる。戦争中の混乱状態の中で、どのようにして無事帰り着くのか。道中様々な出会いと別れがあり、これだけでもかなり濃密な物語となっている。

インマンを待つエイダは、インマン以上に大きく変わっていく。最初は何もできないただのお嬢様だったのが、後半には生活力のある自立した女性へと変貌している。この変わりようがもしかしたらインマンとの再会に大きな影響を及ぼすのかと思ったが、そんな簡単なことで壊れる愛ではなかったようだ。エイダのパートはインマンのパートに比べ地に足のついた、未来に希望が持てるエピソードとなっている。たくましく生きる女性の象徴のように描かれるメイドも、だんだんと女性らしさが増していくのが物語全体を明るくしている。

物語全体を通して戦争の悲惨さが描かれている。恐慌状態では、どんなことが起きてもおかしくはないが、最も悲惨に感じるのは、脱走兵である息子を守る夫婦だ。この場面によって、インマンとエイダの行動が正当化され、戦争=悪という強烈な印象を植え付けている。洞窟の中で気ままに音楽を奏でて生活する脱走兵に対しても容赦のない制裁を与えるが、その後しっかりと因果応報が待っている。ラストは悲しみはあれど、明るい未来が待っている映像となる。それにしても、最終的にはルビーがエイダを食ってしまうほどの存在感を放っていた。

強烈に戦争の悲惨さが描かれている良作だ。



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