ベルベット・レイン


 2011.9.26  むなしさ漂う戦いの連鎖 【ベルベット・レイン】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
二人の大物のパートと、成りあがりを目指す二人の若者のパートに別れている。大物二人は命を狙われてもおかしくない状態のため、自分たちの身辺警護と対立関係者の命を狙う。若者二人が裏社会でのし上がるために、危険な仕事を引き受け、最終的には大物二人をしとめにいくという流れかと思っていた。なぜ二つのパートが対比のように描かれているのかが、最後にわかった。大物たちは、戦いの連鎖を繰り返し、自分たちの命を守るためには、常にライバルたちを排除し続けなければならない。ボスの片腕であるレフティの、ボスを守るための容赦のない行動と、それをいさめるボスの思い。若者たち二人との関係と比べると、あまりに大きくなりすぎ、本人たちの思いとは別の方向へ物事が動いていくようだ。、

■ストーリー

黒社会での地位を目指すふたりの若者と、頂点を極めたふたりのボス。強い絆で結ばれた男たちの運命をドラマチックに描く。

■感想
最後に仕掛けがわかると驚き、そして因果応報なのだと思いしらされる。大物たちには、大物たちの苦労がある。二人の大物役がアンディ・ラウとジャッキー・チェンという超大物であり、特にジャッキーが演じたレフティは、独特の雰囲気から大物の右腕として、あらゆる部分に手を回す冷酷非道な男の役が似合っている。後半では、ボスと二人で対面し、会話を続けるのだが、レフティのボス思いの行動すべてが、なんだか無性に寂しい行いのように思えてくる。対して、若者二人のはつらつとした動きが、ボスたちの悲しさをより際立たせている。

若者二人が成り上がろうとする部分では、わりとありきたりな物語となっている。ボスたち二人に比べると、失うものは何もなく、ただ前に進むだけ。そんな勢いと若さが画面からあふれでている。若さゆえの無鉄砲さで、危うい場面もあるが、それでもこの勢いというのは見ていて心地よい。若者の勢いと、ボスたちの権力にものをいわせた力のどちらが勝つのか。ラストにはその対決が待っているものと思っていたが、思わぬ展開となる。ボス二人と若者二人の関係に気づくのはラスト。ここでやっと物語の仕組みが判明する。

画面の中にボスたちが登場すると、それだけで落ち着きを取り戻し、安定と強い力というものを感じることができる。対して若者二人の危うさというのは、見ている者を不安にさせる何かがある。圧倒的な力を持つはずのボスたちだが、そこであっても家族の場面が登場すると、とたんに力が削がれたような、不安定な気持ちになる。すべてが完璧などというのはありえないが、ボスたちのどっしりとかまえた表情は、俳優のキャリアをそのまま象徴しているように思えてしまう。

最後に仕掛けがわかると、とてもすっきりする。



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