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　2011.7.21　　ろくでもない男の生活　【ある子供】　　HOME

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評価：3

■ヒトコト感想
若者の、どうしようもない日常を描いたのだろうか。盗みで生計を立てるブリュノと子供が生まれたソニア。二人はジミーという赤ちゃんを得て、変わるかと思われたブリュノは変わらず、しまいには赤ちゃんを売り払おうとしてしまう。ブリュノの日常はどうしようもない。安定した生活や、マジメに働くということはブリュノの頭の中にはいっさいない。そんなろくでなしなブリュノであっても、若者らしい、ちょっとした仕草や心優しい部分を見せてくる。現実的にどうしようもない日常というのはあるのだろう。淡々と時間の経過が描かれているが、なぜか目が離せない。絶対にうまくいかないとわかっていながらも、ブリュノの行く末を応援してしまう。不思議な魅力がある作品だ。

■ストーリー
20歳のブリュノと18歳のソニアの間に男の子が生まれた。ジミーと名付けた赤ちゃんをソニアは母親らしく世話するが、ブリュノは父親になった実感などなどく、職につかず、盗んだ盗品を売った金で生活をするという変わらぬ毎日だ。そしてソニアが目を離したスキに、彼は赤ん坊を闇取引の女に売ってしまい、そのことを知ったソニアは卒倒。病院に担ぎ込まれてしまう。事の重大さに気づいたブリュノは赤ん坊を取り戻そうとするが…。

■感想
ブリュノとソニアがどういった経緯で知り合ったのかわからないが、突然父親となったブリュノの戸惑いは理解できる。ただ、父親となったとしても、ブリュノがまったく変わらないのは、若者だからと言う言葉では説明できない。盗みで生計を立て、どうしようもない日常を過ごしながら、今を生きる。将来何か目標があるわけでもなく、一週間先にどうなっているかもわからない刹那的な生活。どう考えても父親には向いていないが、物語は強引に進んでいく。他人事ながら、ブリュノの不安定な生活を見ていると、イラ立ちよりも驚愕を覚えてしまう。

金を手に入れたとしても、先のことを考えて貯金するのではなく、その場でほしいものを買ってしまう。まったくのダメ人間だ。そして、父親という実感がないだけでなく、子供まで売り払うという行動にでる。信じられないことだが、思考回路が鈍く、どこか現実感にとぼしい刹那的な生き方をしていると、短絡的な考えからそうなってしまうのだろう。自分たちの生活のことだけしか考えない男で、どうしようもないのはわかっているのだが、目をそらさずにはいられない。どこかほっとけない雰囲気がある。

ブリュノの行く末はある程度しょうがないことだろう。遅かれ早かれそうなっていたことだ。盗みを繰り返すろくでもない男だが、仲間思いの部分にはしびれてしまう。金がなく、ソニアにもアパートを追い出され、ベビーカーを売りはらった金さえも奪われてしまう。ふんだりけったりの状況の中で、ブリュノはある行動にでる。これが当たり前の若者だとは思わないが、一部のまぎれもない現実なのだろう。ある子供の存在が、ブリュノを変えるかと思いきや、そうはならない。これが現実なのだろう。

強烈なインパクトはないが、ブリュノの行動からは目が離せない。