2012.11.19 男女の考え方の違い 【雨降りお月さん】
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■ヒトコト感想
作者のエッセイは、ある程度数を読んできたので、それほど新鮮味はない。小説家としてどのようなことに気をつけているのか。小説家とは特殊技能が必要で、誰でもなれるわけではない。それらのことは今までの作者のエッセイを読んでいれば、すでにおなじみだ。特別な印象はなく、酒が好きで、タバコはすわないなど、趣味趣向についても多少語られている。そのほか数にまつわる雑学や、好きな映画や小説のことなども描かれている。エッセイとしては特別な印象はない。ただ、最後に収録されている男と女の物語は非常に興味深く読むことができた。上段には男の心情が描かれ、下段には女のそれが描かれている。男と女の違いがはっきりとでており、ありそうでなかった作品だ。
■ストーリー
馴染んでいるようで、意味不明でもある「雨降りお月さん」の歌。人生にはこういうことがよくあるのでは…。見えるようで見えない人の心、わかるようでわからない世の出来事。時を経て、はじめて解する遥か彼方の言葉、思い。書斎の窓に映る暈をかぶったお月さんのように、すべてがかすみ、妖しくみえる。にがく、恐しく、どこかおかしいエッセイ群に、新しい試みのオシャレな恋の小説1篇をプラスする。
■感想
エッセイとしての特徴はとくにない。すでに作者のエッセイは、かなりの数を読んでいるので、目新しいことはない。しいて上げるなら、小説家としての作者のスタンスがよくわかるという部分だろうか。ただ、そのあたりにしても、他の作品でかすかににおわされていたので、驚きはない。本来なら新聞記者になりたかっただとか、雑文書きがこうじて、サラリーマン生活からおさらばする瞬間など、そのときに作者がどう考えていたのかがよくわかる。時代を感じる描写があるのはいつもどおりだ。
本作の最後に、ちょっとした短編がある。これは、男と女が出会い、ベッドを共にし、結婚を意識するなどしたときに、お互いがどういった心境なのかをつづっている。男と女で考えることが違うのはよくわかる。本作のようにはっきりと対比させて描かれると、あらためて男女の違いを意識してしまう。男は即物的で、いつも考えることはひとつ。対して女は、先をみこしながら、慎重にものごとを進めようとする。本当にこの相手で良いのかと考えるのは男女一緒だが、基準が違う。これが全てではないと思うが、かなり的を射ていると思える流れだ。
エッセイの中には当然、男女間の話がある。その中で一番衝撃を受けたのは、エッセイの内容とはかけ離れた部分だ。それは、女の23歳という年齢が、写真付きのカタログとして売り出される時期という説明の部分だ。これは見合い写真を意味しているのだろうが、23歳とは…。時期としては昭和の時代なので、今よりも婚期は早いのだろう。だとしても、23歳というのは早すぎやしないか?いや、23歳がスタートということで、そこから幅があるのかもしれない。女性の婚期が一番時代を感じさせる描写というのも、なんだか変なはなしだ。
タイトルと内容がどれくらいリンクしているかは、この際言いっこなしだ。
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