2013.6.4 若いアイリスのポチャッとした肉体 【アイリス】 HOME
評価:3
■ヒトコト感想
物語は現在のアイリスとジョンをメインとして、合い間に出会ったころの若い二人の話しが描かれている。アイリスとジョンがどのようにして出会い、今にいたるのか。お互い歳をとり、若いころのエネルギッシュさはないが、お互いを尊重し充実した晩年を過ごす二人。
アイリスがアルツハイマーの症状を見せ始めたころから、物語は急転直下となる。若いころのアイリスが自由奔放に恋愛をし、ジョンの気持ちなどお構いなしの破天荒な性格だというのが伝わってくる。それが、歳をとったアイリスといまいち一致しない。当然のことながら、人は歳をとる。若いころのアイリスと現在のアイリスが、あまり同一人物と思えないのが微妙かもしれない。
■ストーリー
英国を代表する女流作家、アイリス・マードックの生涯を描くラブロマンス。一目でアイリスに恋をした大学講師のジョンは、恋愛経験豊富な彼女に翻弄されながらも愛を育んでいくが…
■感想
アイリスという作家はまったく知らない。が、物語を見ていくと、その立ち位置やこだわりというのが伝わってくる。若いころのアイリスが男関係に自由奔放で、ふりまわされるジョン。インパクトがあるのは、若いアイリスが惜しげもなく裸体をさらしているのだが、それが微妙な裸体ということだ。ちょっとぽっちゃりし、池で泳ぐシーンなどでは、脂肪でぶよぶよとした後姿がかなり強く印象に残っている。若さだけでなく、美しさも兼ね備えているのだが、肉感的な魅力の方を強く主張している場面だ。
アイリスがアルツハイマーを発症する。この手の作品が恐ろしのは、だんだんと記憶が壊れているのを見せられると、現実的な恐ろしさがこみあげてくる。最初はただ気のせいだと思うジョン。そして、医者から決定的な言葉を告げられ落ち込むアイリス。
ジョンは、最初はけなげにアイリスの面倒を見るが、後半では二人してボロボロになる。なんだか人の生活が崩壊していく過程を見せられているようで辛い。ジョンがどれだけ頑張ろうとも、ふとしたところで、アイリスの過去の男関係を思いだし、憎しみを抱く。なんだか悲しい流れだ。
小説家がアルツハイマーになる。それは人生のすべてが終わるのと同義なのだろう。アイリスの過酷な運命もそうだが、ジョンの辛さが強烈に伝わってきた。若いころの、なんだかんだとありながらも幸せな二人。そして、晩年の二人。ジョンのけなげな姿ばかりが印象に残っている。
男が本作を見ると、もしかしたらアイリスに対して否定的な思いをいだくかもしれない。自由奔放に暮らし、最後はジョンに迷惑をかける。ただ、ジョンも最後の最後はアイリスの面倒をみることが幸せとなっているので、すべてはよかったのだろうと思えてくる。
若いころのアイリスの裸がちょいポチャだというのが、頭の中に映像として残っている。
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