2011.6.22 感動せずにはいられない 【アイ・アム・サム】 HOME
評価:3
■ヒトコト感想
この手の作品は泣けないわけがない。サム役のショーン・ペンがすばらしく、ルーシーも賢い娘なだけでなく、優しさと思いやりをもった雰囲気がすばらしい。知的障害をもつサムが、なんの意地やプライドもなく、正直に思ったことを話す。やり手弁護士リタや周りの仲間たちのすばらしさはもちろんだが、現実的な問題をすべて凌駕するような感動がある。ルーシーが健気であればあるほど、サムが純粋であればあるほど、そして、周りが二人の幸せを願えば願うほど、辛く厳しい現実がある。観衆はそれをわかっているだけに、二人が離れ離れになり、もう一度一緒に生活できるかという瀬戸際では、涙がこぼれてしまう。この手の流れでは、誰もが涙を誘われることだろう。
■ストーリー
7歳児程度の知能しかもっていないサム(ショーン・ペン)は、娘ルーシー(ダコタ・ファニング)とささやかな生活を続けていたが、彼に養育能力がないと判断したソーシャル・ワーカーがふたりを引き離してしまう。サムはやり手の弁護士リタ(ミシェル・ファイファー)を頼り、裁判でルーシーを取り戻そうとするが…。
■感想
冷静に考えれば、厳しい現実がまっているのは間違いない。7歳児程度の知能しかもたない父親と、それに気づき、父親を越えまいとする娘。娘のいじらしい行動を見ていると、悲しみが押しよせてくる。ソーシャル・ワーカーが二人を引き離そうとするのは正論であり、当然のことだろう。父親と娘二人が一緒に暮らしたいと思う中で、引き離すのは、ひどいことのようだが、冷静に考えればあたりまえだ。ただ、物語の中では、サムの至らない部分をサポートする沢山の仲間たちがいる。言っていることが支離滅裂であっても、隠し事のない、真実の言葉でサムを応援する。そのあたりの暖かさが物語を引き立てている。
親子二人が一緒に生活するために裁判が始まり、そこで登場する有能な弁護士リタ。このリタは有能ではあるが、家庭に問題を抱えており、悩み苦しんでいる。そこへヘンテコなサムが登場し、引っ掻き回す。リタの心がしだいに溶け出し、心からサムとルーシーを応援するというのが、物語を強烈に良い方向へと導いている。サムの純粋な言葉の中に真実がある。誰もがその言葉に心打たれ、ルーシーの本当の幸せを考えた時、サムが口にした言葉。子を持つ親の立場になると、なんとも言えない複雑な気分で本作を見ることになるだろう。
サムの障害がありながら、一生懸命な姿。かと思うと、サムが自分の思い通りにいかないことにいら立ち、発狂する場面などもある。サムが幸せな生活を送れているのは、周りの暖かいサポートがあればこそというのを忘れてはならない。バイト先や、近所の人々、そして、同じく障害を持った仲間たち。ルーシーを取り巻く環境としては、客観的に考えると、里親の方が良いと思う。ただ、この作品の中でのきれいごととして、自分があくまで第三者的立場で見るとしたら、親子なのだから一緒に暮らすのが良いといってしまうだろう。それが先々のことを考えての言葉かはわからない。
間違いなく感動するだろう。子を持つ親としては、子供の幸せが何なのかを考えさせられる作品だ。
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