ワンス アンド フォーエバー


 2009.4.23  戦うのは男だけではない 【ワンス アンド フォーエバー】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
戦争モノは嫌いではない。それなりに基本さえ抑えていれば楽しく見ることができるからだ。本作も定番をおさえており、興味深く見ることができた。特に指揮官役であるメル・ギブソンがかっこいい。こんな指揮官だったら命をかけて戦っても良いと思わせるほどカリスマ的魅力を持ち合わせている。そんな男たちの世界だけでなく、家で帰りを待つ女たちの世界も描いている。戦争の良い面ばかりでなく、悪い面をことさら強調しなんのために戦争をするのか、そして、敵にも家族がおり、恋人がいる。戦いの無力さを特に表しているのが本作なのだろう。現場で戦っている者たちの気持ちは、机上で作戦を練る上層部には一切わからない。これも定番だが、よかった。

■ストーリー

メル・ギブソン主演による、ベトナム戦争の真実を描いた衝撃の話題作。アメリカ史上最も過酷な戦いの一つ、イア・ドランの戦い。この想像を絶する戦いの中で、戦場に降り立ったハル・ムーア中佐は、1人でも多くの部下を生きて帰そうとするが…。

■感想
激しい戦いの中、犠牲になる新兵たち。戦争モノの定番といえば、家族や子供、恋人たちとの思い出をかたり、それが死亡フラグとして有効となる。戦場で、家族の思いを引きずりながら息を引き取っていく。この手のパターンを効果的に使うには、そのキャラクターを印象付ける必要がある。本作でも何人かそのような登場人物たちが存在していた。はずだが、意外にも、それほど印象に残っていなかった。特徴的な小道具や言葉などが出てくればそれなりに判断できるのだが、戦場で戦っている間、これは、あのキャラクターだとすばやく認識するのは難しかった。キャラ付けが足りないとは思わないが、インパクトはなかった。

本作は、なんといってもメル・ギブソンだろう。部下思いで実力もあり、上司に対しても噛み付く、まさに理想の上司像かもしれない。そんなメル・ギブソンが戦いに向かう部下たちに向かって与える演説というのは、やはり感動してしまうものだ。全員が無事に生き残るわけではないという言葉。映画の中であっても、家で待つ家族のことを考えると、悲しくならずにはいられない。男たちが戦場で戦っている間、女たちは不安で押しつぶされそうになりながら家で待つ。死亡届がタクシーで運ばれてくる場面では、まさにその後のことを考えると、人事ながら胃が痛くなる思いだ。

激しい戦争の中で、やはりアメリカ軍目線のために、ベトナム兵たちが倒されるとカタルシスを得ることができる。上空から激しい空爆を仕掛け、ベトナム兵たちを焼き尽くす。それは善が悪を殲滅するという図式なのだから良いのだが、実際はそうではないと本作は語っている。相対するベトナム兵側としても、家に家族や恋人を残している。戦いの犠牲者は常にコマ扱いの兵士たちだ。戦争もので、この手のことをテーマにした作品はたくさんある。特別目新しくもないが、メル・ギブソンのカリスマ的魅力が本作をすばらしい作品へと昇華している。

多少グロテスクな描写はあるが、リアル感をだすための演出として見るしかない。



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