地球が静止する日


 2008.12.23  前半の緊迫感がもったいない 【地球が静止する日】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
過去の名作SFのリメイク。かなりの頻度でCMを流し、印象的な映像でスケールの大きさをアピールしている。冒頭から中盤まで未知なる生物の襲来に直面したアメリカ政府の右往左往ぶりと、国家規模の緊急事態だという究極の緊迫感。相手の得体が知れない状態での、人間のおろかな行動と、全体の雰囲気。まさに、これから一体どのようなことが起こるのかというワクワクした気持ちを抑えることができなかった。しかし、そのドキドキワクワクした気持ちは、終盤になってくると急速にしぼんでくる。人類を滅亡させようとするクラトゥをどのように説得するのか、そこにすべてがかかっているはずなのだが…。どうにもあっさりしすぎている。人類の文明が圧倒的に歯が立たない絶望から抜け出すまでの過程があまりにもあっさりしすぎている。

■ストーリー

任務遂行のため、ロボットの“ゴート”を従えて地球に降り立った人間型異星人“クラトゥ”。政府や科学者たちが謎の解明に奔走する中、ある女性と義理の息子は、クラトゥの任務に巻き込まれていく。そして二人は“地球史上最大の危機”が、今まさに訪れていることに気付く…。

■感想
突如として地球に降り立ったなぞの知的生命体。国をあげて排除しようとするアメリカ。文明の利器がまったく歯が立たず、なすすべもなくやられていく人類。究極の危機を回避するため、緊急事態が発令され、科学者たちが集められる冒頭。すべてにおいて前半は非の打ち所がない。これから一体どのような惨劇が始まるのか、そして、人類は未知なる生物に対抗することができるのか。ワクワクドキドキはおさまらず、クラトゥを尋問するあたりも、緊迫感溢れる演出はまさにすばらしいの一言につきる。

クラトゥは無表情で感情がないようだが、人間の温かみに触れる場面もよかった。クラトゥの行動を見ていると人類を調査しにきたわりには、人間のことを知らなすぎるようにも感じられた。前半から中盤にかけ、人類があくまで攻撃で抵抗しようとするさまは、どうなるかわかっているのだが、見ていて爽快だった。人類の無力さと、今後訪れる危機。相変わらずのアメリカ中心の描かれ方だが、このことにより逆にアメリカ大統領の無力さをアピールしているようにも感じられた。

人類の危機を一体どうやって救うのか。結末は予想できるのだが、その過程が重要だ。前半から中盤にかけてすばらしい緊迫感が、後半は一気にグダグダになった。クラトゥが思いとどまる理由もいまいちはっきりしないし、テーマがぼやけている。結局エコなのか?人類がどのように変わっていくのか、その片鱗をほとんど感じることがないまま、クラトゥは納得してしまう。感情がない宇宙人だからなおさらその合理性を発揮してほしかった。

ラストのあっさりとした終わり方は、それまでの強烈な印象を一気に無にしてしまう。なんだかもったいないように感じた。



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