2009.8.24 夢に向かって突き進む力 【ザ・ダイバー】 HOME
評価:3
■ヒトコト感想
黒人初のマスター・ダイバー。カールは海軍でダイバーになりたいという夢を追いかけ、ダイバー養成所に入ることになる。そこで心無い人種差別や鬼教官のサンデーにしごかれる。このサンデーとカールの関係が絶妙だ。カールは現役時代のサンデーに憧れ、サンデーはカールの実力を認めながらも黒人ということで最初は差別し続けていた。サンデーの気持ちが変わっていく過程と、カールがどんなイジメや人種差別にも負けず努力し続ける姿に心打たれた。カール役の俳優は若いころから四十過ぎまでを演じているのだが、その変化ぶりにも驚かされた。ひたすら夢に向かう情熱と、その情熱にうたれ、感化され、変わっていく者の物語だ。
■ストーリー
海軍のエリート、マスターダイバーのビリー・サンデーは、ダイバー養成所で"神と呼ばれる男だった。ある日白人ばかりの養成所に、サンデーに憧れてダイバーを目指すカール・ブラシアという黒人兵士がやってきた。その日から鬼教官サンデーは彼に対し差別といえるほど厳しい訓練を開始。それに耐え抜いたカールは、ついに海軍史上初の黒人ダイバーとなった。だがそんな彼に言い渡された任務は、海に墜落した戦闘機から核弾頭を回収するという、最も危険なものだった!
■感想
マスター・ダイバーであるサンデー。実力はあるが、どこか反抗的で傍若無人な態度から問題を起こして左遷されることになる。養成所の教官となったサンデーの下にやってきたダイバー志願者のカールを、心無い人種差別からイジメを繰り返す。典型的なイジメ映画かと思っていたが、中身は少し違っていた。イジメられる側であるカールが、そんなことをまったく気にせず、ひたすら夢に向かって努力する姿。飛びぬけた実力を示し始め、サンデーをも認めさせるくらいに成長する。これはイジメにびくともしない、立派な成長物語だ。
サンデーとカールの関係がよかった。表面上はお互いがお互いをよく思っていないが、心の中では認め合っている。口では辛いことを言いながらも、カールの実力を認め、上司の命令を無視してカールをダイバー試験に合格させる。カールのひたむきな努力と、もともとの能力から瞬く間に成長していく。イジメに負けず夢を叶えようとまっすぐに進む姿は、感動を呼び起こさせる。カールが出世するのとは対照的にサンデーが落ちぶれていくのも、なんだか因果応報というか、悲しい気分になってきた。
後半では、あれほど憎みあった二人が、いつの間にか和解し、カールをマスター・ダイバーにするために協力し合う。サンデー役のロバート・デ・ニーロがあの苦みばしった表情で、憎まれ口を叩きながらカールに協力する。この時には、サンデーに人種差別の思いは一切消えているのだろう。必死で努力するカールの姿には、勇気を貰うことができる。不可能といわれてきたことも、本人の努力と、ほんの少しの周りの協力があれば達成できるということだろう。
ダイバーものとしてはかなり良作だと思う。
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