サマーウォーズ


 2010.6.7  古き良き大家族のすばらしさ 【サマーウォーズ】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
新しさと古さが同居した作品。仮想空間OZがすべてを支配し、世界のあらゆるシステムはOZに繋がっている。そんな近未来の世界と、長野の田舎に存在する旧家の世界を描く。作品的にはOZの世界がメインなのだろう。しかし、インパクトがあるのは古き良き田舎生活だ。おばあちゃんの誕生日だからと、従兄弟を含めたすべての親戚が集まる生活。田舎の巨大な家というのは、どこか懐かしさを感じさせる。核家族化が進んでいるとはいえ、田舎に帰ればこんな風景がある。OZでのバーチャルな世界と、田舎での人との繋がりの世界。それらが同時進行することで、事件は解決されていく。この手の近未来モノはありきたりだが、親戚総出の田舎生活というのは強烈なインパクトがある。

■ストーリー

仮想空間OZが人々に浸透した近未来。内気な高校生・健二は憧れの先輩・夏希に頼まれ、彼女の実家を訪れる。個性的な家族の面々に振り回される中、健二は謎の数字が書かれたメールを受信し…。

■感想
仮想空間でのシステムがどうだとか、人工知能がどうだとか、アカウント乗っ取りだとか、新しさを表現しているようだが、そのあたりはすでにマンネリ化したテーマだ。なので、近未来的な面白さがあるわけではない。インパクトがあるのは間違いなく、田舎での大家族の生活だろう。すべての親戚が集まり、従兄弟も例外なく仕事を休んででも集まろうとする。そして、家族総出で女たちは食事を作り、男たちはそれぞれの役割を果たす。田舎の風景とあいまって、大家族の描写には人を引き付けて離さない力がある。

内気な高校生である健二が自分にしかない特技を活かし、事件を引き起こしながら、解決しようとする。田舎に集まった大人たちまで、バーチャルな世界で活動するというのは少し違和感があったが、それだけ仮想空間が身近なものになっているのだろう。おばあちゃんがすべての権力と決定権を持ち、あらゆる力を行使する。これほどまでの絶対君主制はなかなかない。しかし、だからこそ成り立つものもある。田舎を離れた従兄弟に集まれといっても、そう簡単に集まるものではない。仮想現実と本物の現実の違いは、おばあちゃんがいるかいないかだろう。

前半のテンポ良い面白さからすると、後半のダラダラとした流れは少し気になった。仮想空間での様々な攻防がメインなのでしょうがないのだが、少し食傷気味だ。一つの困難を乗り越えたかと思うと、新たな問題が発生し、次々と困難を解決していく。従兄弟たちが、それぞれの職業上のメリットを活かし、対決の準備を整えるのは良かったが、仮想空間内部での閉じられた攻防にはほとんど魅力を感じることができなかった。健二の特技も地味といえば地味なので、どうしても他の人の目立つアクションに頼らざる得なかったのだろう。

古き良き田舎の大家族というのは、ノスタルジックな気分にさせる何かがある。



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