スタンドアップ


 2010.12.2  立ち上がれ女性たち 【スタンドアップ】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
衝撃的な実話をもとにした作品。セクハラが世間に認知されたのは本作の事件からなのだろうか。鉱山で働く女性が、権利を求め裁判をする。まずそのセクハラというか、イジメのすさまじさに衝撃をうけた。ただのセクハラをを越えている。時代的なものと、生活するために稼ぎの良い鉱山で働きたいという思いから、訴えるための協力者があらわれない。男の中には同情するものもいれば、見てみぬふりをする者もいる。鉱山の仕事という、危険がつきものの現場に女性が入り込むというのが始めてのことであり、そのために思いもよらない出来事がまっている。会社を訴えるという話になったとき、会社側の女性弁護士の表情が一番事件の真相を物語っているように思えた。

■ストーリー

夫の暴力から逃れ、父親の違う子供を2人連れて、故郷の北ミネソタの街に帰ってきたジョージー。彼女は、周囲の冷たい視線にさらされながらも、子供のために男たちに混じって鉱山で働く道を選ぶ。しかし、鉱山は男と職場とされ、そこに入り込んできた女性に対する仕打ちは、身も凍るほどひどいものだった…。

■感想
家族を養うため、給料の良い鉱山で働くことになったジョージー。そこで強烈なセクハラを越えたイジメにあい、会社を訴えようとする。最近ではちょっとしたことでもセクハラだと訴える風潮があるように思えるが、本作はそんなレベルを超えている。衝撃的なのはジョージーを含めた女性陣に対しての男たちの人とは思わない行為の数々だ。環境的にも、女性を対象に作られておらず、権利もなにもない。人間的に働く環境ではなくない。これほど強烈なことが当たり前に行われていたという事実に驚いてしまう。

ジョージーが男に苦労し生活してきたということが、さらに男に対しての怒りの思いを増幅させているのだろう。ジョージーのヒステリックで不安定な心は子供に伝わり、周りに対しても余計な悪意をふりまいてしまう。ジョージーを取り巻く暖かい仲間たちが、どんどんと離れていく様はみていて悲しくなる。物語の後半からは、会社を訴えるために、どうやって協力者を集めるかにうつっている。本作が強烈なのは、単純にジョージー一人の話ではなく、ジョージーの両親や同僚、そして、余命わずかな同僚までも巻き込んでいるということだ。

会社側の女性弁護士が、ある場面をさかいに微妙な表情となる。それは同じ女性としての思いからだろう。全編を通して嘘をつく男たちと事を荒立てたくない女、そして見てみぬフリをするその他の男たちという図式ができあがっている。それが、ラストでは大きな何かを掴み取るために立ち上がる。感動が押し寄せる場面だが、会社側の女弁護士が「そらみたことか」という表情をしているのが一番印象に残った。一つのきっかけで大きく変わる。真実が明るみにでれば会社側が圧倒的にフリだとわかっていながら、淡々と弁護する有能な女弁護士。最後の最後では同姓として、ジョージーの気持ちに共感したのだろうか。

最初の印象では、女が鉱山で働くこと自体間違っていると思ったが、そうではないと思い知らされた。



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