それでも恋するバルセロナ


 2010.3.28  恋に、モラルなどないバルセロナ 【それでも恋するバルセロナ】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
自由奔放というか、スペインというお国柄にあった作品かもしれない。バルセロナの観光地を紹介しつつも、そこで出合った魅力的な芸術家と恋に落ちる。ありがちなアバンチュールものかと思いきや、そこは舞台がスペインということで、すんなりとはいかない。一人の男をめぐって、元妻との三角関係や、婚約者がいる身でありながら、芸術家を忘れられない。ありえないほどぶっ飛んでいる。登場人物たちのほとんどすべてがどこかしらスペイン風というか、自由な雰囲気を持ち合わせている。モラルに縛られるのがバカだといわんばかりだが、結局最後はなるようにしかならないというのも、スペインらしい。自由奔放でなんでもあり。スペインという土地がそうさせるのだろうか。

■ストーリー

ヴィッキーとクリスティーナは親友同士。ヴィッキーは慎重派で、堅実な彼と婚約中。一方のクリスティーナは恋愛体質な情熱家。2人はアメリカを離れ、ひと夏をバルセロナで過ごすことに。ある日、2人はセクシーな画家、フアン・アントニオと出会う。クリスティーナが一目で恋に落ちる一方で、ヴィッキーも少しずつ、戸惑いながらも彼に惹かれていく―。ヴィッキーの悩みとは裏腹に、順調につき合いだしたクリスティーナとフアン・アントニオ。そこにフアン・アントニオの元妻、美しく、激しいマリア・エレーナまで現れて…。惹かれあう4人の関係は予想不可能な怒涛の展開へ。

■感想
恋愛に対して慎重な女と行動派の女。二人のコンビが旅先で恋に落ち、そこで様々な出来事が起こる。これだけなら、ひどくありきたりかもしれない。しかし、本作では恋した相手がプレイボーイの芸術家で、さらには元妻が半ストーカーと化している。極めつけなのは、三角関係であるはずの三人が一つ屋根の下で暮らし、自由な生活を謳歌する。一人の男を奪い合うのではなく、共有し、さらには女同士でも…。ここまで自由でやりたい放題だと、作中では常識人であるはずのヴィッキーが、なんだか間抜けに見えてくるから不思議だ。そのヴィッキーもだんだんと変わっていくのだが…。

バルセロナの世界的に有名な観光地で出会う男と女。ちょっとした観光地紹介ものかと思いきや、そこはオマケでしかない。しかし、スペインという土地が、自由奔放な本作を納得したものに作り変えている。最後の最後まで常識的なモラルを持っていた、ヴィッキーの婚約者は、一人何も知らず、バカを見ているような気がしてならない。作中には”ときめき”だとか、”後悔しない”などという言葉が溢れ、さも、何か行動を起こさなければならない雰囲気が充満している。旅先での火遊びを本気に昇華する、不思議な魔力がスペインにはあるのかもしれない。

旅を終えた二人は、元通り何の変化もなく、思ったとおりの生活を続けることになる。自分が思うままに、多少の悩みがあっても本能に忠実に行動したクリスティーナが最終的には一番よかったのではないかと思えて仕方がない。楽しい思いをしただけでなく、自分の才能にも気付き、良いこと尽くめだ。対してヴィッキーは、その心の中に、常にスペインでの火遊びが心に残るのだろう。どんなに満たされて幸せな生活を送ったとしても、美化された記憶を封印することはできない。ヴィッキー夫妻の今後がどうなるのか、決して良い方向へ進んでいかないような気がした。

スペインという国にある不思議な魔力が溢れた作品だ。



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